沖縄を航空整備拠点に MRO Japan 高橋隆司社長【琉球新報デジタルPR特別企画】


沖縄を航空整備拠点に MRO Japan 高橋隆司社長【琉球新報デジタルPR特別企画】
この記事を書いた人 琉球新報社

【プロフィール】
たかはし・たかし 1965年生まれ、東京都出身、埼玉県育ち。89年全日本空輸入社。2014年ANAホールディングスグループ経営戦略部沖縄MRO準備室長、15年MRO Japan取締役事業推進部長、22年同社社長。

―2023年を振り返って。

 会社が成長するための基盤づくりに注力し、約60機の重整備(ベースメンテナンス)を行いました。航空自衛隊の空中給油機(KC—46A)の重整備を新規受託し、23年は2機の整備受託を完了しました。
 
 コロナが明け、アジア近隣のエアラインの就航も活発化している中、那覇空港を離発着する海外エアライン5社のライン整備(運航の合間での点検や整備)を受託できました。また海外エアラインがポケモンの特別塗装をする際には、現地に弊社の塗装整備士を送り、これまでの経験・ノウハウを活かしてスキルアドバイスを行う技術コンサルティング業務を株式会社ポケモンより受託しました。海上自衛隊の機体洗浄も受託しました。新中期事業計画(23〜26年度)の初年度は新規顧客拡大に向けて順調に滑り出しています。

 22年10月に欧州航空安全庁(EASA)から重整備を含む航空機整備事業場の認定を日本で初めて取得し、23年に世界的なVIP向けチャーター運航会社のコムラックス(スイス)が管理する機体の整備を行いました。EASA認定を持つ事業場でしか受託できない整備も多く、今後の事業拡大に向けて必要不可欠の強みであると認識しています。近年、リース航空機が国内外で数多く就航しています。リース会社への機体返却時にはEASA認定に基づいた整備(原状回復)が必要であり、今後、その整備需要は高まります。また、旅客機から貨物機への改修需要もあり、同様にEASA認定がないと受託できません。今後は国内唯一のEASA認定事業場として、リース返却整備や大改修の需要に最大限応えていきたいです。

—沖縄県出身者の採用・人材育成に積極的です。

 23年度は新卒で30人を採用しました。全員が沖縄県出身で、30人のうち、高校生が6割を占めていますが、航空専門学校、沖縄高専、琉大生など幅広く採用しています。一人前の整備士に育てるには10〜15年かかります。国家資格の取得も5、6年を必要とします。学歴は関係なく、若い時期から現場経験を積ませながら、整備基礎訓練や現場でのOJT(業務と並行しての職業教育)等のカリキュラムを組み、若手の育成に励んでいます。現在はプロパー社員6名が一等航空整備士を取得しており、23年には一級塗装技能士もプロパー社員で初めて誕生しました。一等航空整備士や一級塗装技能士のほかにも、航空工場整備士の国家資格取得も推進します。

—24年の展望を教えてください。

 24年度以降も毎年約30人ずつ採用を継続するほか、キャリア採用も行います。コロナ禍で航空業界はリスクのある業界だという印象が広がりましたが、弊社は退職率が低く、順調に良い人材が育っています。

 航空機整備はまだまだ世間に知られていない領域ですが、今後も学校との信頼関係を築き、格納庫見学やインターンシップも定期的に開催しながら、認知度を高めていきます。EASAの強みを活かし、新規事業拡大に挑戦していきます。