高度な金融を自前提供 琉球銀行 川上康頭取【琉球新報デジタルPR特別企画】


高度な金融を自前提供 琉球銀行 川上康頭取【琉球新報デジタルPR特別企画】
この記事を書いた人 琉球新報社

【プロフィール】
 かわかみ・やすし 1961年生まれ、那覇市出身。東北大卒。85年琉球銀行入行、コザ支店長、営業統括部長、取締役総合企画部長兼関連事業室長、常務取締役などを経て2017年から現職。

―2023年を振り返って。

 新型コロナウイルスからの回復を実感した年でした。国内観光客がコロナ前に戻り、インバウンドも今年1月から台湾路線が増便になるなど回復が見込まれます。全体的としては明るい一方で、人手不足や物価高の影響を受ける事業者と、そうでない事業者とで二極化がみられます。長い目で見ると人材確保のための賃上げや、価格転嫁もいい方向に進むと思われます。足元では、店舗や倉庫の建設などお客さまからの融資の相談が増えてきています。

 23年は融資が前年並みの実績でしたが、相続など個人向けフィービジネス、M&Aをはじめとした事業承継といった法人向けフィービジネス、カード関連は好調で、これら「重点3ビジネス」の売り上げは過去最高を更新しています。特に、本島北部の大型テーマパーク「JUNGLIA(ジャングリア)」や、恩納村の高級ホテル「フォーシーズンズ・リゾート・アンド・プライベート・レジデンス沖縄(仮称)」の建設計画で弊行がアレンジャー(主幹事)となり、大型のシンジケートローンを手掛けたことは画期的で、高度な金融サービスを自前で提供できるようになってきました。

 脱炭素関連では、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)普及の取り組みが環境省の「ESGファイナンスアワード・ジャパン」で特別賞を受賞しました。ZEH住宅の購入で生まれるCO2の削減量を集め、売買する「Jクレジット運営管理者」に全国の銀行として初めて登録され、今後もEV(電気自動車)などの分野に取り組みを拡大します。

—中期経営計画で人的資本経営の強化を掲げています。

 専門人材育成のため、23年9月末で36人が長期の研修・出向で外部の金融機関等に入っていて、50人まで増やす計画です。新たな事業領域を自前で提供できるよう取り組んでおり、アセットマネジメント会社や広告宣伝会社の設立、PPP・PFIのコンサルティング業務などを計画しています。

 弊行の課題の一つが、職員の若年化です。過去の大量採用時代の行員の退職に伴い、近年は毎年100人近くを採用しており、若手の教育やそれを担う管理職のスキル育成が重要になっています。IT化が進み、新しいシステムに対応するにはベテラン層のリスキリングも不可欠です。

—日本銀行の政策修正の影響は。

 まず長期金利の上昇を見据え、有価証券運用を積極化する体制強化とリスク管理が重要になります。金利の上昇は銀行の収益力を高めるという考えがありますが、貸し出し金利の上昇で厳しくなる事業者が出る可能性もあります。早い段階からのDX化による効率化や生産性向上を含め、資金繰りや事業再構築、課題解決にこれまで通り対応し、お手伝いしていきます。

—24年の抱負をお聞かせください。

 「重点3ビジネス」と、5〜10年先を見据えた人材育成を着実に続け、金利の環境変化を想定したリスク管理を徹底します。銀行のビジネスが地域の経済活動にもプラスになる領域をどんどん増やしていきたいです。