小学校時代の教え子らの中学卒業を祝おうと駆け付けた我那覇隆さん（前列左）、サプライズの花束を作った砂川生羽さん（2列目左から2人目）ら＝10日、石垣市立伊原間中学校体育館（提供）
琉球新報朝刊 石垣市立伊原間中学校の2023年度第61回卒業式が9日、同校体育館で行われ、今年は13人が学びやを巣立った。そのうち4人が市立伊野田小学校時代に校長として赴任していた我那覇隆さん（58）＝今帰仁村立天底小学校長＝がサプライズで式に駆け付けたところ、当時の教え子らから“逆サプライズ”の贈り物をもらう一幕も。4人の小学校卒業前に病に倒れ、見送ることができなかった我那覇さんは「胸がいっぱい」と涙が止まらなかった。
我那覇さんが53歳の時、初めて校長として赴任したのが伊野田小学校だ。今回の伊原間中の卒業生のうち4人は、当時小学4年生。だが6年生最後の卒業式の1週間前に我那覇さんは病に倒れ、卒業式に参加できなかった。その後は数年間の療養期間を過ごし、今年度から天底小校長として復帰していた。
今回4人がそれぞれの進路に向かって旅立つ前に、元気になった姿を見せたいと考えた。小学校の卒業式に不在で卒業証書が手渡せず、最後のエールを送れなかったことなどを直接伝えたくて、中学校の卒業式にサプライズ参加した。
教え子の4人は我那覇さんの参加に気づきながらも、久しぶりの再会で成長した様子を見せ、堂々と胸を張り卒業式を終えた。その後は会話を弾ませ、会場を後にしようとした我那覇さん。すると待っていたのが、伊野田小の教え子らによる逆サプライズだった。
我那覇さんが伊野田小で卒業に立ち会えなかった4人のうちの1人、砂川生陽さんの姉で、我那覇さんの伊野田小時代の教え子で現在高校2年生の砂川生羽さん（17）と曽我葉月さん（17）が来島の情報を聞きつけていた。2人は式の4日前から紙粘土を使い、手作りで世界に一つだけの花束のプレゼントを計画。その花々の中には我那覇さんが当時よく児童に親指を立てて行っていたハンドサインをした人形もいる。そのすてきな贈り物を見た瞬間、我那覇さんは涙が止まらなかった。
我那覇さんは「サプライズで式に参加したが、まさかの逆サプライズ。現在の高校2年生も4人の児童だった。手作り花束とその4人全員からの寄せ書きも手渡され、とても胸がいっぱいで、久々の再会ができて本当に良かった」と目を細めた。
（新城孝博通信員）
