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日本語教育の質、国が担保 在留外国人増で環境整備


日本語教育の質、国が担保 在留外国人増で環境整備 日本語教育機関認定法のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 教育内容など一定の基準を満たした日本語学校を国が認定し、日本語教員の国家資格を創設する新たな制度が4月から始まる。留学生や就労者ら在留外国人の増加に伴うニーズの高まりを受け、文部科学省が日本語教育の所管庁となって質を担保し、環境整備を図る。

 ◇ばらつき

 2023年末時点の在留外国人数は約341万人で、2年続けて最多を更新した。国内の日本語学習者は約22万人(22年度)で、新型コロナウイルス禍で一時減ったものの増加傾向となっている。一方で、国内に約2700ある日本語教育機関の水準は、ばらつきがあるのが実情だった。
 4月1日施行の日本語教育機関認定法では、国が教職員体制や教育課程などを審査し、基準を満たした日本語学校を認定する。文科省は、認定機関の情報をホームページなどで海外に発信。認定機関は毎年度、授業の実施状況などを文科省に報告する義務があり、運営が不適切と判断されれば是正命令の対象になる。
 現在、在留資格「留学」の学生を受け入れ可能な日本語学校は、法務省告示で定められている。今後は5年の経過措置を経て審査が認定法に一本化され、留学生受け入れには認定取得が求められる。
 教員の国家資格「登録日本語教員」も新設される。必要な知識や技能を問う「基礎」「応用」の各試験に合格後、実践研修を受ける必要がある。認定機関で教えるには、5年以内にこの資格の取得が必須となる。

 ◇先生の確保

 文科省は今年1月から、新制度に関する説明会を実施。認定機関の申請は5月から受け付ける。登録日本語教員の初回試験は11月に行う。
 東京都港区の日本語学校「青山国際教育学院」の村上誠学院長は、新制度を「学校と先生両方の質を上げるために望ましい」と受け止める。大学や専門学校への進学を目指す中国やベトナムなどからの留学生約350人が学んでおり、認定取得へ準備中だ。
 認定法の審査は、法務省告示基準よりも教育内容を重視するため、改良に向け幹部らによる勉強会などを実施。教員にも国家資格を取ることを勧め、情報提供している。新制度に伴い専任教員の配置基準が厳しくなるといい、西原幸伸学院長代行は「先生の確保に苦労する学校が増えるのでは」と話す。
 就労者や生活者向けの日本語教育は、認定の有無にかかわらず、これまで通り実施できる。ただ今後は、技能実習に代わる新制度「育成就労」などによる外国人労働者の受け入れ拡大を踏まえ、就労者への日本語教育支援の重要性も増す。文科省は、出入国在留管理庁や厚生労働省などと連携して取り組む方針だ。