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平和って何? 沖国大生が宜野湾中で講話 地元の沖縄戦や地域の歴史を伝える


平和って何? 沖国大生が宜野湾中で講話 地元の沖縄戦や地域の歴史を伝える 「スマイライフ」が招かれた宜野湾中の平和講演会=17日、宜野湾市の宜野湾中
この記事を書いた人 Avatar photo 石井 恭子

 【宜野湾】米軍ヘリ墜落事故から20年がたつ沖縄国際大学の平和学習サークルSmilife(スマイライフ、真玉橋鈴奈代表)の学生らが17日、宜野湾市立宜野湾中(由博文校長)に招かれ、慰霊の日を前にした特設授業の平和講演会で講話した。メンバーらは3年生の教室で、宜野湾の沖縄戦や戦後銃剣とブルドーザーで土地を米軍に奪われた地域の歴史を説明しつつ、「平和って何。笑って生きることじゃない?」などとサークル名に込められた思いを語った。

 授業は全学級をオンラインでつないだ。冒頭、沖縄戦を分かりやすく伝えようと、田島征彦さんの絵本「なきむしせいとく」を新垣元子教頭が朗読した。8歳の「せいとく」は大切な家族を戦争で亡くす。国語の教諭だったという新垣教頭は「父母でもない、普段学校で一緒に生活する教員が読むのもいいのかなと思った」と話す。

「スマイライフ」の(左から)大城衣吹さん、眞榮喜愛恵さん、宮城千尋さん、又吉愛莉さん、代表の真玉橋鈴奈さん

 2004年のヘリ墜落事故後に生まれたスマイライフ。創設から17年たち、現在は社会文化学科の学生20人が所属する。コロナ禍も経て最近はもっぱら県外の修学旅行生らに嘉数高台や沖国大などを案内することが多いという。沖縄戦の激戦地となった嘉数の塔や普天間飛行場を見下ろす展望台、日本軍のトーチカなど「戦争の遺跡は近くにこんなにたくさんある。どんどん知っていこう」と生徒らに伝えた。

 生徒からは活動をする理由や沖縄戦のことが伝わったと思えた瞬間などについて質問が上がった。大城衣吹さん(21)は「私たちの話を聞いた生徒が自分なら(戦争の時)どうしたかと発言してくれる時がうれしい。平和は人それぞれで、それを考える時間こそが平和につながっていく」と語りかけた。

 授業を終えて、真玉橋代表(22)は「学生の間でもヘリ墜落を知らない人は多い。伝えたいことを伝えられるか不安はあるが、墜落20年目にして私たちも深く勉強できている気がする」と今後の活動への意欲を語った。

 (石井恭子)