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『コンセント/同意』 痛々しい危険な恋<シネマFOCUS>


『コンセント/同意』 痛々しい危険な恋<シネマFOCUS> シネマFOCUS/桜坂劇場/「コンセント/同意」
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 フランス文学界を震撼(しんかん)させた1冊の本「同意」の映画化。女性作家ヴァネッサ・スプリンゴラが実体験をもとに書き記したのは、小児性愛者を公言する有名作家に愛されてしまった少女の悲劇。

 美しい文章と巧みな会話術を武器に、14歳の少女に近づいたのは当時50歳の作家ガブリエル・マツネフ。文学を愛し、聡明(そうめい)ゆえに孤独だった少女は、彼のミューズになることを喜び、彼を愛すると決めた自分への責任を、必死で果たそうとしていた。しかし、どう見てもその姿は痛々しく、案の定彼女はどんどん荒(すさ)んでいく。

 人間は大人になるにつれ、愛する人との深いつながりを求めたり、愛が理由で傷つけあったり憎しみあったりする。それはおそらく、恋愛が肉体の成長と共にあるからだと思う。少女は、自身の肉体と精神の許容量を超える危険な恋に身を投じてしまった。

 子どもたちがこんな風に傷つくことを、大人として絶対許さない。そう思わずにはいられなかった。監督はヴァネッサ・フィロ。

 (桜坂劇場・下地久美子)
 ◇桜坂劇場・あす公開