日本デザイン振興会(東京都)は2日、2019年度グッドデザイン賞(1420件)を発表した。沖縄科学技術大学院大学(OIST、恩納村)とミサワホーム総合研究所(東京都)などが共同研究した、エネルギーや水の創出と環境負荷低減を両立する自立型住宅「蒸暑地サステナブルアーキテクチャー」が、受賞したうち特に優れ、今後のモデルになると評価された「ベスト100」に選ばれた。県内から選ばれるのは、公表が始まった2012年以降で初めて。
「蒸暑地―」は強い日射や台風などに耐えられるように、琉球石灰岩で造られた石垣など伝統的な手法を一部に取り入れ、太陽熱、大陽光、雨水の集積装置としての役割を果たす。インドネシアなど島しょ開発途上国への展開を目指し、亜熱帯の蒸暑地域であるOIST内で研究を進めていた。
OIST側代表研究者の北野宏明教授は「沖縄は暑くて湿度が高く、塩害もある点で、この研究を行うにはベストな地域だ。かなり高いクオリティーで成果を示すことができ、広い意味でデザインが評価されたのは大変重要だ。今後は実用に向けた議論が進む」と喜んだ。
「蒸暑地―」はOISTなどのほかに、ソニーコンピューターサイエンス研究所(東京)、ミサワホーム(同)が共同で受賞した。
グッドデザイン賞には「蒸暑地―」のほか、設計事務所アトリエ・門口(うるま市、門口安則代表)の「東海岸線に建つ住宅」、一般社団法人離島未来ラボ(宮古島市)と株式会社彗星(東京)の「宮古島理想通貨みゃーく」が選ばれた。