【石垣・竹富】9月30日夜から1日朝にかけて沖縄県石垣市と竹富町全域で発生した通信障害では、災害時における離島の情報連絡体制の不備が浮き彫りになった。両自治体は大規模災害発生時に同様の事態が発生することへの危機感を強めており、今回の対応や課題を踏まえて、早急に対策をまとめたい考えだ。
石垣市防災危機管理室によると、通信障害発生後、緊急通報を市民から直接受け付けるため消防車両を市内に巡回させた。消防無線を活用して消防車両などと連絡を取ったほか、県の総合行政情報通信ネットワークの無線機も使用し、県と情報共有を図ったという。テレビ局や地元ラジオ局に依頼し、緊急事態発生時には巡回する消防車両や市役所に直接伝えるよう呼び掛ける情報も流した。
大濵武室長は「悪天候のため衛星電話は使えなかったが、消防無線は有効で沖縄本島にも届いた。通信障害発生時の連絡は、消防無線の活用を軸に考えたい。広報車両を細かに巡回させることなどもマニュアルに盛り込みたい」と話した。
一方、島々で構成され、町役場が石垣島にある竹富町。常設の消防組織はなく、島民が担う非常設の消防団とは携帯電話で連絡を取り合う。防災行政無線も役場からの情報提供機能しかなく、住民からは情報が伝達できなかった。
町防災危機管理課の通事太一郎課長は「島々に合った形の、既存の通信インフラだけに頼らない仕組みを考えなければいけない。沖縄は島しょ県なので、県全体の課題として捉えなければならない」とした。