すし屋の板前から絵本作家へ 昇河さんの手作り絵本や絵画展が8日から


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 【沖縄】画家、詩人、絵本作家として活動する沖縄市の昇河(しょうか)さん(70)=本名・登川富雄=が手作りの絵本や油絵、シーサーなどを展示する個展「昇河展」が8日から那覇市の県立博物館・美術館で始まる。13日まで。東京ですし屋の板前として働いていた40年ほど前に芸術活動を開始し、平和や自然をいつくしむことなどをテーマにほぼ毎日作品作りに取り組んできたという昇河さんは「平和を願う心が広がってくれたら」と来場を呼び掛けている。入場無料。

「作品を通して平和を願う気持ちが広がれば」と話す「昇河」さんこと登川富雄さん=9月29日、沖縄市美里

 昇河さんは中部農林高校を卒業後、板前の修業のため上京し、都内のデパートのすし屋で働いていた。デパートで開催されていた絵画展の絵を見て触発され、1975年から独学で絵を学び、描き始めた。これまで中野サンプラザや、85年に帰郷後は浦添市美術館などで個展を開催してきた。

 今回展示するのは主宰する画廊「土と言葉の美術館」(沖縄市美里)で展示している作品から選んだ絵本50冊のほか、絵画20点、シーサーなど。

 自身の少年時代をモチーフに描いた「沖縄の昔の子どもたち」や、近隣の美里幼稚園の子どもたちが自然とともに成長する物語を描いた絵本など、思い入れのある作品を展示する予定。互いをいたわり、平和で自然を愛する意識を育みたいとの思いを作品に反映させているという。

 昇河さんは「児童虐待事件などが起きているが、子どもは社会の宝物だ。小さくて弱い人たちこそ大切にされ、光が当たる世界になってほしいとの願いを作品に込めた」と話した。

 問い合わせは昇河さん(電話)090(9786)5639。