漢方薬「冬虫夏草」の栽培確立 国内初、寄生キノコ一貫生産 「薬用泡盛」の販売目指す 沖縄UKAMI養蚕


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沖縄UKAMI養蚕が商品化を目指す「UKAMI琉球夏草」

 養蚕業の沖縄UKAMI養蚕(今帰仁村、仲宗根豊一代表)が、漢方薬として知られる「冬虫夏草(とうちゅうかそう)」を育成し、機能性食品の素材を開発する事業を進めている。同社は「エリ蚕(さん)」という蚕のサナギに冬虫夏草の一種「サナギタケ菌」を寄生させ、冬虫夏草の発芽から収穫まで行う栽培技術を国内で初めて確立した。同社の冬虫夏草は男性更年期障害の改善や予防の効果が期待できるという。

 今後、学術機関などと協力して安全性や機能性を確認し、商品化につなげる。

 冬虫夏草は昆虫などに寄生するキノコの仲間。冬場に宿主に寄生して、夏になると発芽して大きく成長する。通常、冬虫夏草は寄生から収穫可能になるまで7~8カ月を要するが、同社の技術では55日程度で収穫できる。収穫期間の短縮に向けた研究も行う。

サナギに寄生して成長した冬虫夏草(同社提供)

 冬虫夏草の商品化に向けた事業は東京薬科大と協力し、県の補助事業を活用しながら進める。ラットを使った実験では、同社の冬虫夏草に前立腺の重量増加の抑制や、ダイエットにつながる効果が期待できることが示されたという。

 今後は「UKAMI琉球夏草」のブランドで販売する予定で、商標登録や特許出願も実施する。製薬会社などから商品の問い合わせが来ているという。

 冬虫夏草は健康への効果が期待できることから、同社は泡盛メーカーと提携した薬用酒の開発も視野に入れる。同社のUKAMI琉球夏草を泡盛に混ぜ、県産の薬用酒として販売することを目指す。

 仲宗根代表は「県産の冬虫夏草で泡盛の薬用酒を生産したら、県民だけではなく観光客への販売にもつながるだろう」と期待を寄せた。