北谷町と沖縄市を結ぶ「県道24号線バイパス」整備で、県が2018年5月に申請した米軍キャンプ桑江の一部を含む整備区間の測量や土質調査のための立ち入りを米軍が拒否した件で、県は本年度中に立ち入りの許可が得られない場合、調査設計業務を委託した事業者との契約を終了する方針であることが8日までに分かった。委託費3400万円のうち約1千万円は業者に支払っているが、そのうち申請手続きなどに使用した経費は戻らない可能性がある。県はその経費の額を明らかにしていない。
日米の環境補足協定は、米軍施設の返還日の約7カ月前まで日本側の立ち入り調査を認めていない。ただ、このバイパス整備事業は協定の対象から外れ、返還日が決まっていない時点でも立ち入り調査が可能となった。しかし将来整備を進める区間に返還予定のない土地の一部がかかることを理由に、米軍は県に対し詳細な説明を求めており、立ち入りができない状態に陥っている。
県は、桑江交差点から北谷中学校付近までを結ぶ約約1720メートル区間の整備を03年に着手。15年7月にも立ち入り調査を要請したが、2カ月後に環境補足協定が締結されたことで、立ち入りできずにいた。
その後17年10月、同事業が環境補足協定の対象から外れ、次年度にも調査の着手に見通しが立ったことから、県は18年4月にコンサルタント会社1社と契約し調査設計業務を委託した。同5月には防衛局を通じて在沖米軍の担当部に立ち入り調査を申請した。
だが、現在事業化されていない整備予定区間に返還予定のない地区が含まれることを理由に、米軍は立ち入りを許可せずにいる。県は本年度内に許可が得られない場合、業務委託するコンサルタント会社との契約を終了する方針を明らかにした。調査実施のため、再度入札を予定しているものの「立ち入り時期のめどが立たないうちは業務発注は難しい」と話している。 (吉田早希)