茨城国体、沖縄総合42位 目標の30位台に及ばない要因とは…


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少年男子共通円盤投げで優勝した藤原孝史朗

 第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体2019」は8日、総合閉会式が行われて閉幕した。県勢は32競技に成年152人、少年128人、監督46人の計326人が出場した。県出身者を含めた優勝種目はビーチバレー少年男子、ライフル競技2種目、重量挙げ2階級、レスリング1階級、陸上1種目の計7件だった。男女総合成績(天皇杯)は715・5点で42位で、昨年の福井国体の43位から上げたものの、目標に掲げた30位台には及ばなかった。皇后杯(女子競技の個人・団体)は418点で46位だった。優勝した競技を中心に大会を振り返る。

宮城ライフル2冠

 ライフルの各種全国大会で上位入賞を続ける興南高勢が好成績を収めた。特に宮城汐李が少年女子ビームライフル立射30発と同60発で大会新を記録し2冠を達成。ライフル競技の皇后杯7位(28点)、天皇杯10位(34点)に貢献した。お家芸とされる重量挙げは、東京五輪出場を狙う東京代表の糸数陽一(豊見城高―日体大出、警視庁)が成年男子67キロ級で優勝。同69キロ級での4連覇に続けて5大会連続制覇という比類なき強さを見せつけた。成年男子109キロ超級は知念光亮(豊見城高―沖国大出、いちご)が筋力強化を奏功させ国体初優勝。2024年のパリ五輪へ名乗りを上げる活躍だった。

 レスリングは東京五輪を視野に入れる志喜屋正明(浦添工高―国士舘大、自衛隊体育学校)が成年男子グレコローマン97キロ級で栄冠に輝き、成年男子87キロ級の鶴田峻大(沖縄尚学高、自衛隊体育学校)が3位と実力者が結果を残した。同少年男子65キロ級の仲泊勇之介(北部農林高3年)が3位に入賞と躍進した。陸上では少年男子円盤投げの藤原孝史朗(沖縄カトリック高)が51メートル40で優勝。全国ランキング1位ながら悪天候の影響で13位に終わった南部九州総体の雪辱を果たしてみせた。

少年女子ビームライフルで2冠を達成した宮城汐李
レスリング成年男子グレコローマンスタイル97キロ級で優勝した志喜屋正明

弓道27年ぶり準V

 16年ぶりの本国体出場となった弓道の少年女子近的(津嘉山華楓、脇川桜弥、糸数智恵)は27年ぶりの県勢準優勝の快挙を成し遂げた。指導者にも恵まれ、全国総体後も着実に力を伸ばした。軟式野球成年男子の沖縄選抜は13年ぶりに準決勝に進出し、4位入賞。ベテランが培った経験値と若手の勢いが融合し、強豪実業団チームを破る「大物食い」を見せた。若返りを図ったソフトテニス成年男子が1995年以来の16強入りを果たすなど、今国体の明るい話題となった。

団体競技伸び悩む

 目標とする総合成績30位台は、2011年の山口国体の39位が最後。当時は重量挙げやハンドボール、ソフトボール、なぎなた、レスリングが高得点を挙げ、陸上やカヌー、ボウリング、弓道、ライフルなども貢献した。現在も主要競技に大きな変化はない。今大会は弓道競技の躍進が特筆されるが、活躍が期待された少年男子のソフトボールやハンドボールなど、実績ある団体競技がいずれも初戦敗退となったのは惜しかった。総合順位の上昇を目指す点では、団体競技の上位進出だけでなく、出場種目を増やす体制をつくり、選手を育成することも鍵になりそうだ。
 (茨城国体取材班・嘉陽拓也、古川峻、新里圭蔵、喜瀬守昭)

重量挙げ成年男子67キロ級で優勝した糸数陽一
重量挙げ成年男子109キロ超級で優勝した知念光亮