〈19〉大腸がんの検査 早期発見、自宅でできる


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 一生のうち男性は11人に1人、女性では13人に1人が大腸がんと診断されます。診断時に幸いにも早期の方もいれば、すでに進行した状態の方もいます。

 がんの進み具合はステージ(病期)という言葉で表されます。がんが大腸粘膜の中にとどまっているステージ0は最も早期で、肝臓や肺、腹膜にがんが広がったステージ(4)は最も進行した状態です。

 大腸がんと診断されて5年後に生存している割合はステージによって異なります。ステージ0では94%と良好なのに対し、ステージ(4)では18・8%に低下します。

 ステージが進んだ状態になると、手術や抗がん剤治療、転移の治療が必要となります。反対に、早期の状態で治療を開始できれば、大腸がんは完全に治る可能性があります。

 「すくわれる便で救われる命あり」。便の表面をすくいこすり取る検査で、命に関わるような状態になる前に大腸がんの早期診断が期待できます。

 便の表面をこすって便中の微量の出血を確認する検査を「便潜血検査」といいます。つまようじのようなスティックの先で便の表面を満遍なくこすり取り、専用の容器に密閉して2日分を提出する方法で、自宅で行うことができます。

 職場健診の項目に便潜血検査が含まれていない人や、職場で受診する機会のない人は、地域のがん検診で便潜血検査を受けることができます。インターネットで在住する市町村名と「便潜血検査」を検索すると、それぞれの市町村の健康増進課や福祉健康部が、がん検診の詳細を案内しています。

 大腸に出血している病変がある場合、便潜血検査の結果は便潜血陽性(+)となります。結果が要精密検査であれば、必ず大腸内視鏡検査を受けましょう。早期がんであれば内視鏡的治療や手術のみで長期の生存が望めます。また一度も便潜血検査を受けていない方は、まずは人生初の便潜血検査にチャレンジしましょう。そして以後は便潜血検査を毎年の恒例行事にしましょう。

 (仲地厚、豊見城中央病院 外科)