サッカーJ2のFC琉球は11日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで「美ら島スタジアム~J1規格スタジアムの早期実現に向けて~」と題したシンポジウムを開いた。登壇者は国内のスタジアム整備の進ちょくや、地域に親しまれるスタジアムの在り方などを報告、討議し、来場者約400人が熱心に耳を傾けた。
日本プロサッカーリーグクラブライセンス事務局の佐藤仁司マネージャーは、現在国内に約20の整備構想があることを紹介した上で、スタジアムが満たすべき要件として公共交通機関からの近さや客席を覆う屋根の整備などを指摘。FC琉球のホーム、タピック県総ひやごんスタジアムが両方の条件とも満たすのが厳しい中、奥武山での整備計画が2023年の完成予定から大幅に遅れている現状に触れ「危機感を持たないと、J2にもいられなくなってしまう。早く実現することを願っている」と計画の加速化を促した。
「世界に通用する日本のスタジアムを」と題し講演したスポーツファシリティ研究所の上林巧代表は、「いかに普段から地域の人々が慣れ親しめるか」を設計のポイントに挙げた。プロ野球広島のマツダスタジアムでは結婚式など、競技以外の目的で利用されることも多いという。建物の壁を減らし、周辺の環境と一体化したスタジアムが世界の潮流であるとし、周辺でバーベキューができる海外の事例も紹介した。
パネルディスカッションでは、FC琉球の小野伸二選手が過去に所属したオランダ・フェイエノールトのスタジアムを例に挙げ「地下のロッカールームから階段を上がり、グラウンドに出た瞬間に広がる景色は素晴らしかった。選手やファンがわくわくする環境だとうれしい」と期待。上里一将主将は「日本一のスタジアムになってほしいが、選手が活躍しないとお客さんは入らないので、しっかりプレーで沖縄を盛り上げたい」と足元を見詰めた。
サンフレッチェ広島スタジアム総合戦略推進室の信江雅美室長から、広島市で進む整備計画の現状についての報告もあった。