〈20〉頸動脈エコー 動脈硬化予防へ検査を


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 日本の死亡原因の1位はがんで、3人に1人という話はよく知られています。残りの方はどのような病気で亡くなっているのでしょうか? 大きな割合を占めるのが、動脈硬化が関係する心疾患・脳血管疾患で4人に1人になります。がんは早期発見するしかないのに対し動脈硬化は予防可能です。どのようにして早期発見するのでしょうか? 最も有用な方法が頸動脈エコー検査です。

 高血圧を長い間放置している方、コレステロールが高い方、動脈硬化疾患の家族歴がある方、喫煙者などにこの検査を勧めています。検査の結果は、動脈硬化なし、軽度、中等度、重度の動脈硬化ありの4段階で評価します。

 以前の調査結果によると、この検査で動脈硬化の所見が高いほど、心疾患を起こす危険性が高い「冠動脈狭窄」の状態であることが多いと判明しました。そして動脈硬化を認めた方の多くは「自覚症状がなかった」と話していました。

 つまり医師は、自覚症状ではなく、頸動脈エコー検査の結果で心疾患の危険性を予知することができ、発作を起こす前にカテーテルによる治療を勧めることできるのです。

 では動脈硬化が見つかった場合、カテーテル治療以外にどのような対策ができるのでしょうか? 最も大事なことは、高血圧、脂質異常症、糖尿病がある場合、これらすべてを良くすることです。これらの病気が放置されると動脈硬化が進んでしまいます。最近はスタチンというコレステロールを下げる薬を勧めることが多くなりました。

 食事では、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)を多く含む魚を食べることが最も良いとされ、これらを薬にしたものが処方されることもあります。イソフラボンを多く含む大豆食品も有用とされています。

 健診を受けていても頸動脈エコー検査を受けたことがない方は多いので、動脈硬化が心配な方はぜひ受けてほしいと思います。動脈硬化を認めた場合の対策や治療は、かかりつけ医と相談しましょう。

 (田名毅、沖縄県内科医会 内科)