「一歩でも前進したい」 ハンセン病回復者の会 那覇で第1回総会


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ハンセン病元患者らに「偏見差別は必ずなくなると確信を持つことが大切」と訴える神谷誠人弁護士=20日午後、那覇市の県立博物館・美術館

 療養所を退所した沖縄県内のハンセン病元患者や支援者で組織する「沖縄ハンセン病回復者の会」(平良仁雄、知念正勝共同代表)は20日、那覇市の県立博物館・美術館で第1回総会を開いた。共同代表に平良さん、知念さんを再任した。元患者の医療・介護体制整備などを求めて同会が2018年に県に提出した要望書実現へ、県に具体的な対応を求めることなどを確認した。平良共同代表は「退所者の高齢化が進んでおり時間が残されていない。一歩でも前進させたい」と話した。

 回復者の会によると、退所者の平均年齢は75歳を超えた。周囲への病歴発覚を恐れて地域の病院に行けず自己治療を重ねた結果、足や指を切断せざるを得なくなったり、高齢化が進み自宅から距離のある療養所には通えず、治療を受けられずに悪化させるケースが増え続けている。

 18年1月、これら課題解決を目指して元患者らが回復者の会を発足させた。同年5月に医療・介護体制整備と支援の充実、ハンセン病問題の啓発事業促進など10項目の要望書を県に提出した。

 要望書の進ちょくについて、知念共同代表は総会で「県は問題解決へ向けて関係機関を網羅した協議会を立ち上げるとのことだったが、まだ至っていない。どうしても立ち上げたい。皆さんの協力をお願いしたい」と話した。

 総会では、神谷誠人弁護士による基調講演もあった。神谷弁護士は「偏見差別は必ずなくなるという確信を持つことが大切だ」と訴えた。教師や医師、県職員ら啓発活動に取り組む側への啓発も必要とした。その上で、元患者に対して「自らの生き方を恥じることなく誇りを持ってほしい。当事者による言葉が最も響く」と呼び掛けた。