朝鮮人の遺骨もDNA鑑定を 沖縄戦の朝鮮人犠牲者の遺族、県に協力を求める


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沖縄戦に動員され犠牲となった父への思いについて語る朴春花さん(中央)。遺骨が返ってくることを願った=25日、県庁

 沖縄戦で父を失った韓国人の朴春花(パクチュナ)さん(77)と朝鮮人を含む沖縄戦没者の遺骨の返還に取り組む関係者らが25日、県庁に大城玲子子ども生活福祉部長を訪ね、沖縄戦没者の遺骨のDNA鑑定に関して「朝鮮人の遺骨も同様に調査できるよう協力してほしい」と求めた。

 厚生労働省の記録などによると、朴さんの父熙兌(フィテ)さんは1944年7月に韓国から動員され特設水上勤務第104中隊への編入後、渡嘉敷島で亡くなったとみられている。戦後、帰国を果たした父の友人から母が聞いた話では父は食べ物に困り民家で芋を食べていたところ、発見した日本兵に殺されたという。

 2年前に父の名が追加刻銘された糸満市摩文仁の平和の礎に23日初めて訪れ、亡き父を追悼した朴さん。「とても遅れたけど来ることができて良かった」と話した。その上で「私は当時2歳で父の顔をも覚えていない。長い間父のいない生活を送った。とても悔しい」と肩を震わせ、強制動員や遺骨問題について「まだ遺族はいる。真実の究明、遺骨の返還の解決に尽くしてほしい」と語った。

 大城部長への要請後に開いた会見で「戦没者遺骨を家族の元へ」連絡会の上田慶司さんらは韓国でも沖縄戦没者遺族163人がDNA照合を求めていることや、多くの朝鮮人が沖縄戦に動員され犠牲になったことなどを説明。「人道問題として解決が求められていることを県民にも知ってもらいたい」と話した。