文化功労者に人間国宝の宮城能鳳さん 沖縄県出身・在住では初 「組踊立方」保持者 


この記事を書いた人 問山栄恵
国立劇場おきなわの組踊公演「忠臣身替の巻」で母役を演じる宮城能鳳さん=5月15日、沖縄県浦添市の国立劇場おきなわ

 政府は29日、2019年度の文化功労者に、重要無形文化財「組踊立方」保持者(各個認定)=人間国宝=の宮城能鳳さん(81)=与那原町=を顕彰することを決めた。沖縄県出身で県内在住者が文化功労者に選ばれるのは初とみられる。文化勲章は狂言方和泉流能楽師の野村萬さんら6人が受章した。

 能鳳さんは6月、日本芸術院賞を県内で初受賞した。能鳳さんは「宮城能造師匠をはじめ、先達の方々への感謝の気持ちでいっぱいだ。芸術院賞も文化功労者も、健在であれば先達の先生方が選ばれるべきものだ」と表情を引き締めた。その上で「(文化功労者に選ばれ)先生方にわずかなりとも恩返しができたかと思う」と笑顔を見せた。

 能鳳さんは1938年に南城市(旧佐敷村)に生まれ、幼少の頃から、父・徳村磯輝さんに琉球古典舞踊の手ほどきを受けた。1961年に初代宮城能造氏に師事し組踊と琉球舞踊を学び、67年に琉球新報ホールで開かれた第2回琉球古典芸能祭の組踊『女物狂』で初の組踊舞台を踏んだ。

 1970年に能造さんより「宮城能鳳」の名取を許され、82年第1回独演会を開催した。86年に重要無形文化財「組踊」保持者(総合認定)、2006年に「組踊立方」の人間国宝に認定された。

 1990年に県立芸術大学教授、2004年からは同大客員教授を務め、07年に名誉教授。05年から国立劇場おきなわが取り組む伝統芸能伝承者養成事業で、組踊研修生の立方指導を務めるなど後進の育成にも積極的に取り組んでいる。

 沖縄県内在住者では、2011年度に東京都出身で恩納村在住の柳田充弘さんが文化勲章を受章している。【琉球新報電子版】