首里城に所蔵されていた国宝級の工芸品 被害状況分からず 財団は「現在確認中」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
黒漆菊花鳥虫七宝繋沈金食籠
黒漆牡丹七宝繋沈金食籠

 沖縄県指定文化財を管理する県教育庁文化財課の担当者によると、沖縄美ら島財団に委託している県指定有形文化財の中で、首里城内に保管されている可能性があるのは絵画「白澤之図(はくたくのず)」、工芸品「黒漆牡丹七宝繋沈金食籠(くろうるしぼたんしっぽうつなぎちんきんじきろう)」と「黒漆菊花鳥虫七宝繋沈金食籠(くろうるしきっかちょうちゅうしっぽうつなぎちんきんじきろう)」の3点という。

城間清豊作品「白澤之図」(首里城公園提供)

 担当者は、収蔵品の保管先に関しては「現段階ではどこにあるのか正確な場所を把握できていない」と話す。首里城内で収蔵庫などに保管されていた場合は焼失の可能性があるが、首里城以外の場所で保管されていたかを含めて同財団が確認を進めているという。

 文化財はいずれも16、17世紀に作られたとみられる。

 「白澤之図」は琉球史で最も古い絵師である城間清豊の作品。災いを取り除くことができると信じられていた神獣の白澤を描いている。

 工芸品の食籠は王府の儀式で使われていたもので、祭祀道具としての他に日常の供え物や食事入れとしても利用されていた。黒漆塗りに掘られた文様に金粉や金箔を埋め込む「沈金」と呼ばれる蒔絵(まきえ)の手法が施され、花や昆虫が細密に描かれているのが特徴だ。