首里城焼失、観光業界挙げ対応協議 沖縄ツーリズム産業団体協議会 代替コース提案など基本方針を確認


この記事を書いた人 Avatar photo 高良 利香
首里城火災を受けて関係機関の連携を呼びかける沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長=1日、豊見城市の沖縄空手会館

 10月31日の火災で世界遺産の首里城が焼失した事態を受け、沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)は1日、県内の観光関係者で組織する「沖縄ツーリズム産業団体協議会」の緊急会合を豊見城市の沖縄空手会館で開いた。航空、交通、ホテル、旅行社など28の企業・団体が参加。県内観光への影響を食い止めるため意見交換をしたほか、国内外への正確な情報発信や首里城観光に代わる代替コースの提案など、観光業界を挙げて取り組む六つの基本方針を確認した。

 OCVBは修学旅行を取り扱う16社(回答14社)への聞き取り調査で、11月から来年3月までに沖縄で修学旅行を予定する801校のうち8割以上が、行程に首里城見学を入れているとみられることを報告した。

 また、10月31日時点で首里城の利用を予定していたMICE案件は13件で、人数や立地、目的などそれぞれの要望に合った代替施設を提案できるよう情報の整理を進めているとした。

 旅行各社も首里城に代わるツアーコースの変更などに対応しているが、参加者から「今後、代替先の施設でキャパオーバーの発生が考えられる」などの意見があり、受け入れ状況の確認や連携を密にしていく必要性が指摘された。

 今後の対応に関する基本方針は(1)観光関連施設での火災・防災体制の再確認、備えの徹底(2)誤った情報の拡散防止のため正確で迅速な情報発信(3)情報発信は可能な限り多言語で行う(4)修学旅行とMICEに対し代替観光コースを提案(5)一致団結した誘客と受け入れ強化(6)首里城再建に向けた国と県の取り組み支援―の6項目を確認した。

 OCVBの下地芳郎会長は「これまで苦しい時は行政と観光業界が力を合わせて乗り切ってきた。環境の変化に柔軟に対応する強い観光地になる必要がある」と話した。