[日曜の風]首里城焼失 心よりお見舞い


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 木曜日の朝は、早朝のテレビ番組の出演のために午前4時ごろに起きます。先日、いつもと同じように起きると、携帯電話にニュース速報が入っていました。目に入った「首里城火災」という文字は、あまりに衝撃的で、何のことか分からず、戸惑いながらもネットのニュースを開きました。夜の闇の中で赤く燃えさかる躯体(くたい)を目にして、そのまま動けなくなってしまいました。

 一人で見るのはあまりにもショックで、誰かに連絡しようかと思うものの、明け方でまだまだ起きている人も少ない時間帯のこともあり、思いとどまりました。SNSを開くと、既に沖縄にいる友人たちの悲痛な書き込みがたくさんありました。まだ何が起こっているのか詳細は分からないままでした。

 大阪のテレビ局に入って、スタッフと共に映像を見ていると、誰もが言葉が出てこない様子でした。「何でこんなことに…」「行ったことありますけど、本当にきれいな所ですよね…」「ようやく工事が終わったくらいですよね…」とボソボソと語る程度でした。番組冒頭のあいさつの後、すぐに映像を交えて扱ったのですが、私もまだきちんと言葉にできる段階ではありませんでした。

 大阪にいる私たちですら、そんな状況でしたから、沖縄の皆さまのお気持ちたるやいかばかりかと…ある方から「沖縄戦で焼かれた首里城の再建は、戦争で失ったものを取り戻す作業なんですよ」という話を伺ったことがあります。ようやく取り戻せたかに見えたものが、また失われるという無情さ。

 沖縄の友人たちにお見舞いを申し上げると、どれだけ今回のことがつらいかという言葉の後に、「また再建しますよ!」「ウチナーンチュは何度でも立ち上がりますよ」と、涙まじりの、自らを鼓舞するような言葉が返ってきます。きっと琉球王朝の時代から、いろんな無情なことがあっても、こうやって自らを、お互いを鼓舞されてきて、生きてこられたのだろうなと感じます。それが沖縄の強さであり、沖縄が沖縄であるゆえんなのだとも。心よりお見舞いを申し上げます。

(谷口真由美、法学者・全日本おばちゃん党代表代行)