首里城、電気系統から出火か 火元、正殿北東とほぼ断定 遺構、大きな損傷なし


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 沖縄県那覇市首里当蔵町の首里城正殿など主要7棟が焼失した10月31日未明の火災で、県警と那覇市消防局が特に焼損が激しい正殿北東を火元とほぼ断定したことが5日、関係者への取材で分かった。この周辺には焼け焦げた「分電盤」などがあり、出火原因は電気系統のトラブルによる可能性が高いとみている。県警と消防はこの日は北東側に絞って実況見分を実施した。同日の県議会文教厚生委員会(狩俣信子委員長)で、平敷昭人教育長は正殿地下にある世界遺産の遺構に大きな損傷はないと報告した。

 関係者によると31日午前2時34分の出火直後、正殿内1階に設置されていた防犯カメラ3台と正殿裏の野外にあった防犯カメラ1台の計4台の電源が一斉に喪失した。4台は分電盤の隣にある映像送受信などをするための中継器「ハブ」でつながっていた。周辺で何らかの異常が発生したとみられる。

 関係者によると火災発生前の31日午前1時5分ごろ、警備員が正殿のブレーカーを落としており、その後に稼働していた正殿内の電気機器は警備会社のセンサーと7台の防犯カメラだけだった。1階に3台、残り4台は2階に設置されていた。

 警備会社のセンサーが異常を感知した同2時34分から約6分後、正殿内の別の警報器の非常ベルも鳴った。センサーが鳴る前、正殿北東側にある女官居室周辺に設置されていたカメラに白い発光体が写っているという。警備会社のセンサーの電源は防犯カメラとは別で、正殿正面の奉神門から引いており、火災発生後も一定時間は機能していたとみられる。

 県警と消防は分電盤を開けて調査を実施したが、出火原因の特定には至っていない。

 県議会文教厚生委では、正殿床下でガラス張りで公開されていた世界遺産の地下遺構の一部に火災によるがれきが入っていることが報告された。それ以外の遺構は約60センチの土が盛られており、損傷はないものとみられている。平敷教育長は「火災による影響は少ないだろう。文化庁の担当者も世界遺産の登録状況に影響する可能性はほとんどないとの見方を示した」と話した。