【沖縄】沖縄市の動物園「沖縄こどもの国」(神里興弘園長)で飼育する国指定天然記念物で絶滅危惧種リュウキュウヤマガメ15匹とセマルハコガメ49匹の行方が分からなくなっていることが5日、関係者への取材で分かった。飼育場のネットが外されていたことから何者かに盗まれた可能性もあり、同園は6日にも沖縄署へ被害届を出す。本紙の取材に対し、昨年9月にも複数匹のカメが行方不明になっていたことを明らかにした。
園によると、10月28日午後2時ごろ、飼育員が餌あげ時にカメが少ないことに気づいた。飼育員が飼育場を点検したところ、飼育場のネットを結束するバンドが切られ、ネットの一部が外されていた。園は沖縄市の担当課に連絡したが、5日時点で警察に被害届は出していない。残りのリュウキュウヤマガメ9匹とセマルハコガメ14匹は28日から展示を中止している。
被害届を出していない理由について、園は「担当者が数日間不在で連休が重なった」などと説明した上で「沖縄本島の外に出ることが心配だ。警察に捜査の協力を依頼したい」と述べた。昨年9月の事案については盗難の事実が確認できず被害届は出さなかった。園は飼育展示の方法を変更するなど対策を取っていた。市の担当者は「事実関係を確認した上で、今後の対応について検討したい」と話した。
リュウキュウヤマガメは沖縄県の本島や渡嘉敷島、久米島に生息する。絶滅が懸念され、ワシントン条約で取引が規制されている。セマルハコガメは西表島や石垣島、台湾、中国南部に分布する。