ハワイの県系人が沖縄に来て必ずすることは… 移民1世から続く首里城との関わり


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首里城に向かって御願をする和多エリックさん(右)と金城ノーマンさん=5日、那覇市の龍潭

 沖縄の文化などを伝えるハワイの県系人らのグループ「御冠船(うくゎんしん)歌舞団」の和多エリックさん(53)と金城(かねしろ)ノーマンさん(44)が5日、首里城再建のための寄付金20万円を那覇市に託した。2人は「沖縄の若者はあまり歴史を知らない。この悲しみを機に、もっと文化やしまくとぅばを教えてほしい。観光地というだけではない首里城(すいぐすく)の意義を考えてほしい」と願った。

 同歌舞団は沖縄の歴史などを学ぶスタディーツアーで10月25日から11月6日までの日程で滞在している。寄付金はツアー参加者22人が出し合った。和多さんは「県系1世の方々に首里城を拝んでから移民したという話を聞いた。ツアーでは毎回、1世の代わりに玉陵(たまうどぅん)に、ぐいぇーさち(ごあいさつ)をしてから首里城に入る」と語る。

 今回のツアーでも26日に首里城を訪れた。火災が発生した31日、一行は北部にいた。今帰仁城跡から首里城に向けて御願(うぐゎん)をささげ、同日夕に首里城に駆け付けた。ツアー参加者の中には70代のおばあさんもおり「私たちは新しい城を見られるか分からない。帰る前に気持ちを届けたい」と寄付を決めたという。

 寄付金贈呈式で和多さんは涙をこらえながら「首里城は沖縄のシンボルだ。世界のウチナーンチュの力を合わせて新しい城を造りたい」と語った。城間幹子市長は「これで(新しい城に)魂が入る。復元の日まで見守って」と感謝した。

 5日午後、和多さんと金城さんは龍潭から首里城に向かい御願をささげた。2人が焼けた首里城を昼に見たのはこの時が初めて。「やっと(焼失を)信じることができた」と遠い目で語り「新しい城から世界に平和のメッセージを発信したい」と前を向いた。