〈23〉働き盛りの健康づくり 受けて安心、特定健診


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 皆さんは、特定健診を受けていますか? 特定健診は、自覚症状がない段階で潜在している病気を発見すること、将来生活習慣病になりやすいリスクを確認し、その後の適切な対応につなげることを目的に実施しています。

 特定健診の結果では、沖縄県は男女とも全国トップの肥満県であり、メタボリック症候群の該当率も日本一です。肥満を基礎とした生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症、腎臓病など)は、命に関わる心筋梗塞や脳卒中を引き起こす大きな要因です。

 また、沖縄県では特定健診の受診率が低いのも大きな問題です。糖尿病を例にすると、2015年度の特定健診受診者は27万3036人で、そのうち1万4416人(7・3%)は糖尿病に罹患(りかん)していることが報告されています。しかし受診率は48%で、未受診者の中に糖尿病の患者さんがどれだけいるのか、実態は不明です。

 また、異常を指摘されても治療を受けず、重症化してから病院を受診する方が多いのも沖縄県の特徴で、医療費に占める入院医療費の割合は全国平均を大きく上回っています。沖縄県では、働き盛り世代の健康状態が大ピンチです。65歳未満の働き盛りの死亡率が全国でもとても高い状況にあります。健診受診率が低く、重症化してから受診する傾向は、働き盛りの死亡率の高さと密接に関連していると考えられます。

 40歳以上75歳未満の方は年に1回、特定健診を無料で受けられます。特定健診では、高血圧や脂質異常症のほか糖尿病、腎臓病、肝臓病などの早期発見に必要な検査を行います。健診で発見された生活習慣病は、生活習慣の改善や適切な薬物治療により、進行をくいとめることが可能です。

 現代人は誰もが何らかの生活習慣病のリスクにさらされています。地域や職場、家庭において重要な役割を担う働き盛りの皆さん! 自分の現在の健康状態を把握し、より良い健康状態を維持するためにも、年に一度の特定健診を必ず受けましょう!

(砂川博司、すながわ内科クリニック 内科)