〈24〉RSウイルス感染の流行 発熱あれば早めに受診を


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 RSウイルスは、インフルエンザのように何度も感染する風邪で、罹患(りかん)する年齢が重要です。

 症状はせき、鼻水、発熱です。0歳児は細気管支炎や肺炎になるリスクが高く、3歳までは重症化することがあります。5歳以上はあまり問題になりません。3歳以下に対する感染源になります。

 飛沫(ひまつ)や接触で感染します。予防接種はありますが高価なので対象は未熟児等に限定されています。インフルエンザのような特効薬はありません。外来では気管支拡張剤の内服や吸入で悪化を防いでいます。

 本土は冬に流行します。沖縄は例年3~9月に多く発生します。今年は増え始めたのは5月末と遅く、6~7月に集中したため、5カ所の大病院で小児科の入院が制限されました。7月初めに中部徳洲会病院と那覇市立病院の小児科病棟を見学させていただきました。毎年、両院合わせて年間500名のRS患者が入院していました。これだけの人が短期間に集中すると病床は足りなくなります。

 重症者は、人工呼吸器や酸素を鼻から高流量で投与されていました。ただ、RSは普通の風邪のように食欲があって軽く治る時もあるため、初期に救急病院を訪れても入院対応はありません。まずは近くのクリニックを受診してください。RSの典型的な経過は10日ほど続きます。

 診断には、38度以上の発熱があって10時間経過したらインフルエンザのように鼻から綿棒で検査します。90%以上の確率で診断できます。ただし、保険診療では重症化しやすい1歳未満の乳児が対象です。1歳以上は保険診療では検査できませんので、周囲の流行や症状などから診断することになります。

 現状の改善には次のように考えます。(1)保育園などでRSと診断された子が出たら、残りの3歳以下の園児に注意しましょう。せきで夜眠れない、哺乳力の低下、発熱などがあれば、早めに近くのクリニックを受診しましょう。(2)医療機関や保育園は、RSの流行情報を把握して対処しましょう。

(呉屋五十六、いとむクリニック 小児科)