〈26〉認知症を予防する生活 発症リスク要因を制御


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 日本の認知症患者数は2012年時点で約462万人、65歳以上の7人に1人と推計されています。年々増加し、2025年には約700万人、65歳以上の5人に1人になると予測されています。

 現在のところ認知症の根治的治療法はありませんが、発症のリスク要因を適切にコントロールすることで、発症や進行を遅らせる可能性があると言われています。世界保健機関(WHO)はこれまでの研究に基づいて認知症の予防に関するガイドラインを新たに発表したので、簡単に紹介します。

 推奨されているのは、運動、禁煙、健康的な食事、過度なアルコール摂取を控えること、体重の管理、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症)の管理となっています。認知機能トレーニングや社会活動の参加についてはまだ十分な研究結果が確立していませんが、健康や幸福感を高める効果があるため、推奨されています。

 ビタミンB、E、複合サプリメントは認知症予防には有用ではないため、推奨されていません。

 これらのことから、具体的には次のような生活が認知症予防に役立ちそうだと言えます。

 毎日30分ほど、軽く息が上がるくらいのウオーキングを行い、たばこを吸う人は禁煙をする。推奨されている地中海食にならって、食事は毎日、穀類、野菜・果物、乳製品、魚介類をバランスよく取る。穀類は全粒粉パン、玄米など茶色の炭水化物を摂取する。油はオリーブオイルを使い、牛肉・豚肉は控え目にし、鶏肉は週に数回食べる。

 健康に害を及ぼすほどの飲酒は控え、適正な体重を保ち、高血圧・糖尿病・脂質異常症は適正な値を維持する。頭を使う知的活動を行い、地域の活動に積極的に参加して、いろいろな人と会ってゆんたくする生活が望ましいでしょう。

 いかがでしょうか。このような生活で明るく楽しく認知症予防ができそうですね。まだ遅くはありません。できるところから取り組んでみてはいかがでしょうか。

(久場禎三、沖縄中央病院 精神科)