「琉球びんがたの日」制定の狙いとは… 琉球びんがた普及伝承コンソーシアム代表理事・屋冨祖幸子氏に聞く


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琉球びんがたの現状や今後の展望について語る琉球びんがた普及伝承コンソーシアムの屋冨祖幸子代表理事=20日、那覇市大道

 琉球紅型の普及などに取り組む琉球びんがた普及伝承コンソーシアムが、11月16日を「いい色・琉球びんがたの日」に制定した。国の伝統的工芸品に指定される「琉球びんがた」を広く周知し、県内の染め織物業界を盛り上げる取り組みも進める。工芸品を取り巻く現状や今後の展望について、コンソーシアムの屋冨祖幸子代表理事(琉球びんがた事業協同組合顧問)に聞いた。

 ―制定の狙いは。

 「琉球びんがたは沖縄の伝統的な染め物で、南国の太陽に負けない力強い色合いを大事にしている。顔料を使って絵画のように染める手法は世界的に見ても琉球びんがたしかない。しかし、そのことが一般的に知られていない。色に特徴がある琉球びんがたをアピールするため、記念日を制定した」

 ―琉球びんがたを取り巻く現状をどう見るか。

 「海外や県外に琉球びんがたを持って行くと多くの人が注目する。以前、アメリカでワークショップを開催したことがあるが、大盛況だった。一方で県内では周知が十分ではないと感じている。舞踊の衣装などで琉球びんがたを目にすることはあるが、展示会の開催や作り方を体験できる機会はまだまだ少ない。コンソーシアムとして琉球びんがたの事業展開をプロデュースし、先頭に立って業界を引っ張ることが求められる。海外に目を向けることも必要だ」

 ―県民生活に琉球びんがたは定着するか。

 「琉球びんがたは生活の中で使ってもらうことで生きてくる。コンソーシアムには県内企業も参加する。琉球びんがたを活用し、工芸品として発展させることが期待できる。琉球びんがたに限らず、工芸品は土産物として購入されることが多い。県民が普段から利用することで業界全体が豊かになり、素晴らしい作品が生まれると思う」

 ―染め織物業界の活性化にも力を入れている。

 「那覇空港に染め織物を活用したクリスマスツリーを設置する。公共の場に染め織物を展示する機会は少なかった。国内外の人が訪れる空港で伝統工芸品を紹介し、沖縄の宝物を広くアピールできる。ツリーも素晴らしいデザインになっている。ツリーは季節限定だが、染め織物から新商品を生み出し、産地を紹介する取り組みも強化する」

 ―琉球びんがたの今後の展望は。

 「最近は若い世代が工房を引き継ぐ事例も見られる。琉球びんがたの基礎や伝統的な技をしっかりと学び、継承してほしい。伝統を守りながら、多くの人に使ってもらえる商品の考案など、新たな取り組みも必要になる。琉球びんがただけではなく、県内の染め織物全体が力を付けて、一緒に成長したいと考えている」
 (聞き手・平安太一)