〈28〉チャイルドシート 抱っこでは守れない


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 2000年4月から、6歳未満の子どもを自動車に乗せる場合、チャイルドシートに座らせないで運転してはいけないことになりました。

 自動車は大人が乗ることを前提に設計されており、座席は子どもには大きすぎます。大人を守るためのシートベルトでは子どもを固定することは難しく、事故の衝撃で子どもが車内や車外へ放出されたり、シートベルトで遊んで首に巻きついたりする事故が発生しています。子どもを自動車に乗せ、安全で安心して運転するために、子どもを固定する装置がチャイルドシートです。

 チャイルドシートはシートベルトで座席に固定します。さらにチャイルドシートに座る子どもは、ハーネスという専用のベルトで固定されます。正しく装着されたチャイルドシート内の子どもは、事故による衝撃でも車と同時に停止し、車内や車外に放出されません。

 抱っこや、チャイルドシートなしに子どもだけで座席に座っている時や正しく装着していない時、前に進もうとする慣性力で子どもは進行方向に向かって飛び出します。時速40キロで壁に衝突すると、ビルの3階から落下したときの衝撃に相当します。体重10キロの子どもでも一瞬で約300キロの慣性力がかかり、抱っこでは支えられず、車内にぶつかったり車外に放出されたりして大けがをします。

 「すぐそこまでだから」と抱っこや子どもだけ座席に座らせて車で出掛けていませんか。2018年の日本自動車連盟(JAF)調査では、6歳未満児のチャイルドシート装着率は全国の66・3%に対し、沖縄県は50%と全国で下から3番目でした。非装着例では「子どもだけで座席に着座」が26・5%、「チャイルドシートを使用しているがハーネスで固定しない」11%、「シートベルト着用」7%、「抱っこ」が5・5%という状況でした。

 チャイルドシートに座らせて固定する以外に、子どもの安全を確保できる席はどこにもありません。抱っこでは子どもは守れません。
 

(小濱守安、県立南部医療センター・こども医療センター 小児科)