琉球人遺骨、持ち出し219体 返還求め「ニライ・カナイぬ会」発足


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「ニライ・カナイぬ会」の結成集会で遺骨返還を求める方針などを確認する参加者=23日、宜野湾市

 人類学者らが戦前、研究目的で沖縄や奄美地方の風葬墓などから持ち出した遺骨の返還を求める団体「ニライ・カナイぬ会」(共同代表・亀谷正子氏、玉城毅氏、当真嗣清氏、松島泰勝氏)が23日、発足した。宜野湾市内で開かれた結成集会で、持ち出された遺骨が少なくとも219体に上ることを明らかにし、返還を目指す方針を確認した。京都大学に返還を求める琉球遺骨返還請求訴訟の松島泰勝原告団長(龍谷大教授)らが、文献などから調査した。

 これまで展開してきた今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓から持ち出された遺骨返還の取り組みに加え、運動が琉球諸島全域に広がる。一方で合計300体以上が持ち出されたとする文献もあり、同会が返還を求める遺骨はさらに増える見通し。

 同会は北海道大学などから遺骨返還を勝ち取ったアイヌ民族の「コタンの会」に学び、遺骨を保管する旧帝国大学などへの返還要求や情報公開請求、訴訟の支援などに取り組む。遺骨が返還された場合、受け皿団体として再風葬などの祭祀(さいし)を執り行う。

 これまで台湾大学が保管していた遺骨63体が3月、県に返還された。京都大学は少なくとも26体を保管しているとみられ、返還について係争中だ。奄美地方でも遺骨が持ち出されたとして「京都大収蔵の遺骨返還を求める奄美三島連絡協議会」が返還を求めている。

 「ニライ・カナイぬ会」は文献などを基にそれら以外にも複数の人類学者らが中城村、豊見城市、与那国町など各地から複数の遺骨を持ち出したとして、それぞれ返還を求める。

 インターネット電話「スカイプ」で会合に参加した松島教授は「台湾大学から返還された遺骨(県立埋蔵文化財センターが保管)は研究で使えることになっている。本当の意味での返還を求め、祭祀を行える団体が必要だ」と述べた。