「知らないことが差別や偏見を生む」 名護・愛楽園で朗読劇


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
劇の終盤、平和な世界の実現を訴え群読する出演者ら=9日、名護市済井出の沖縄愛楽園公会堂

 【名護】名護市済井出の沖縄愛楽園自治会(金城雅春会長)と同交流会館は9日、言葉の力や沖縄戦などをテーマにした朗読劇「にんげんだから」を同園公会堂で開催した。作家の大城貞俊さんが脚本を手掛け、平和な社会を目指す力強い言葉に、来場者はじっと耳を傾けた。

 幕開けは旧石器時代。人間が言葉を獲得し、文明を生み出した一方で、戦争により豊かな社会を破壊していく様子が描かれた。出演者の上江洲朝男さんと高宮城六江さんが声色や表情を変えながら朗読し、作品の世界に引き込んだ。

 終盤では、琉球大学の学生らも加わり群読した。「知らないことが差別や偏見を生む」「人間は幸せをつくるために生まれた」。歴史上に起こった悲劇を忘れず、人間だからこそできる、幸せや喜びをつくりだすことの大切さを訴えた。

 劇を見た87歳の女性は「愛楽園に来た当時を思い出した。今は職員や先生のおかげで、昔より開かれた場所になったと感じる。感謝の気持ちで胸がいっぱいになった」と涙した。

 大城さんは「朗読劇を通して言葉の面白さを伝えていきたい。沖縄の過去や現在を知って、未来を考える機会にしてほしい」と語った。