那覇空港の第2滑走路が供用されたらどうなる? 慢性的な遅延が改善へ


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 那覇空港第2滑走路の2020年3月26日の供用開始が決まった。年間の処理容量が24万回と大きく拡大することで、慢性的な遅延が生じる状況は大きく緩和される。1本しかない滑走路上で事故やトラブルが起きると飛行場自体が閉鎖され、沖縄本島の人流・物流が途絶えてしまうという離島県の危機管理の上でも効果は大きい。一方で増加した処理容量を十分に活用するためには、駐機場数やターミナル機能の拡充が今後の課題となる。

 滑走路の処理容量は「航空機が安定的に遅延なく発着できる回数」のこと。現在の那覇空港の滑走路1本の処理容量が年13・5万回なのに対し、18年度の発着回数は16・4万回に上り、発着数が処理容量を超過している。第2滑走路の供用開始により、現在の発着回数に比べても約8万回の余裕が生まれる。

 那覇空港ビルディング(NABCO)によると中国、シンガポール、マレーシアの格安航空会社(LCC)から新規就航の打診があり「路線誘致に向け、県とも連携して調整を進める」と、沖縄の「空の玄関口」の拡大に意欲を示す。国内大手の全日本空輸(ANA)も「那覇空港の機能強化の決定を受け、沖縄全体の伸びゆく需要に応え、さらなる地域の活性化に貢献したい」として、路線の拡充を示唆した。

 一方で発着回数の増加に伴い、航空機が待機できる駐機場の確保、旅客ターミナルビルの機能の拡充も必要になる。県交通政策課は「駐機場やターミナルの能力が不足するとの指摘は、各種の会議などで上がっている」との認識を示す。

 国土交通省空港計画課は「3月26日以降、直ちに処理容量の上限に達するわけではないので、利用状況などを考慮しながら問題が生じないよう取り組む」とした上で、不足が想定される駐機場について「現状では67カ所あり、新規の整備計画もある」として早期の対応方針を明らかにした。