辺野古抗告訴訟 国側意見陳述 全文


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「辺野古抗告訴訟」第1回口頭弁論が行われた那覇地裁の法廷=26日午後2時43分(代表撮影)

 国土交通大臣が行政不服審査法に基づき、今年4月5日に県知事が行った埋め立て承認撤回を取り消す裁決をした。それに対し、県知事は国地方係争処理委員会に審査申し立てをしたが、県知事の主張は適法ではないと却下された。

 さらに県知事はこの却下決定を受けて、福岡高裁那覇支部に国の関与を取り消す訴訟を提起したが、10月23日に却下された。現在、最高裁に上告しているところだ。このような訴訟を継続している一方で、原告である県は今回の採決の取り消しを求める訴訟を提起した。

 県の訴えは2002年最高裁判決(宝塚パチンコ事件)により、不適法とされている訴訟そのものであり、速やかに却下されるべきだ。本件で提起されている取り消し訴訟は、本来国が行政権の行使によって、その権利や利益の制約を受けた場合に、その救済を司法権に求めるためにある。02年の最高裁判決は、行政権に侵害された国民の権利利益の保護を目的として、司法に救済を求める訴訟は司法権の役割として、裁判所で審理する対象になるとしている。

 しかし02年の最高裁判決では、国の権利利益を制約する側である行政機関の行政権限を行使することは司法権の役割ではなく、行政権限の救済を求める訴訟は裁判所で審理する対象外であることを明確に示している。今回提起した訴訟は、県知事自身が行った埋め立て承認撤回の効力を復活させることを求めるものであって、行政機関が権限行使の救済を求めるものでしかない。

 県は今回の訴訟は02年の最高裁判決にはそのまま当てはまらないと主張しているが、同判決は司法権の目的機能から導き出された帰結であり、それが当てはまらない理由はない。

 また、県は地方自治権の侵害と主張しているが、県の主張する地方自治体の実態は行政権そのものであり、その侵害を訴えることは同判決において不適法とされる行政権そのものと言わざるを得ない。県の訴えが不適法であることはその訴えそのものから明らかだ。裁判所には直ちに審議を終了し、速やかに却下するよう求める。