〈29〉脳神経内科 全身診察、専門科紹介も


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 体の不調や日常生活の困った症状があり、何科を受診したらよいか分からず困った経験はありませんか? 発熱は内科、腰痛は整形外科など分かりやすい症状もありますが、しびれ、力が入らない、ろれつが回らない、見えにくい、物忘れ、手が震えるといった時は何科を受診したらいいのでしょうか。

 皆さんは脳神経内科という科をご存じでしょうか。これまでは神経内科と呼ばれていました。この名称(標榜科)の変更は2017年9月に日本神経学会が決定したものです。

 神経内科は、精神科や心療内科と間違われることが、しばしばありました。精神科や心療内科が気分の変化、精神的な問題が元で体に異常を来したような病気を扱うのに対し、神経内科は脳や脊髄、末梢(まっしょう)神経、筋肉に異常があることで体が不自由になる病気を扱う内科です。「脳神経外科」に対して「脳神経内科」と名称を変更することで、診療内容をよりよく理解していただき、より適切な科として紹介することも日本神経学会の狙いです。

 脳神経内科が扱う症状としては、しびれ、頭や手足などの痛み、力が入らない、ろれつが回らない、見えにくい、物忘れ、手が震えるなど多彩です。神経診察では頭のてっぺんから足先まで全身を診察します。脳神経内科でどこの、どのような病気であるかを見極め、脳神経内科以外での治療が必要な場合は適切な科に紹介します。

 例えば、しびれの原因が骨や関節の病気なら整形外科へ、検査で異常がなく原因が精神的なものなら精神科が専門です。10年来の便秘が、実はパーキンソン病の歩行障害に先行する症状だったというような、一見関係なさそうな症状でも両者を合わせて診察することで、診断に近づく場合もあります。

 何科を受診したらよいか判断がつかない時は、全身を診る機会が多い脳神経内科も選択肢の一つとしてご検討ください。

(花城清祥、ねたて内科クリニック、脳神経内科)