高級食材のアワビが北大東でふ化に成功! 安定供給と量産目指す


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養殖アワビを手にする仲宗根革施設長(左)と冨原梨子さん=20日、北大東村港の陸上養殖施設

 【北大東】アワビとヒラメの養殖に取り組む北大東村はこのほど、アワビのふ化に成功した。これまで稚貝を県外から購入しており、陸上養殖施設の仲宗根革(あらた)施設長(40)は「ふ化の成功で(将来的に)稚貝を仕入れるコストがなくなる。2、3年後には100%北大東産のアワビになる。ふ化させた稚貝の販売もできればいい」と安定供給を目指す。

 北大東村は台風の影響がない新たな水産業に取り組もうと、2011年度に陸上養殖の調査を開始。13年度に沖縄振興特別推進交付金を使い、総事業費約3億5600万円で小中学校の海水プール跡を活用して完全閉鎖式の陸上養殖施設を整備。14年度に総事業費約9千万円でふ化施設を造った。両施設は15年度に完成し、アワビとヒラメを養殖する。

 村や漁協、村内業者らで村養殖産地協議会(会長・宮城光正村長)を組織し、養殖場を運営。仲宗根施設長ら2人で管理する。

 1日約60トンの海水を使う。アワビは育てやすいエゾアワビの稚貝を岩手県などから購入。出荷する6センチになるまで約3年。ステーキなどで使われる特大サイズはさらに2、3年かかる。ヒラメは約15カ月で出荷する40センチ程度に成長する。

 アワビとヒラメは17年度に初出荷した。18年度はイオン琉球と居酒屋などにアワビ計約2300個、ヒラメ計約500匹、総額約150万円を売り上げた。

 現在はイオン琉球に毎週6センチのアワビを約60個、ヒラメを20~30匹出荷。村内や本島南部の居酒屋にも販売する。生きたまま瞬間冷凍するので刺身で食べられるが、量産が課題だ。

 ことし2月、ふ化に成功した。仲宗根施設長は「卵を産ませるのも大変だが、今後はふ化した貝が親貝になり、100%北大東産にしたい」と目標を語った。