「落としどころがない」 衆院2区の後継巡り、社民県連「事実上分裂」


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 今期限りの引退を表明している照屋寛徳衆院議員=沖縄2区=の後継を巡り、社民党県連内の意見対立で収拾のつかない事態が続いている。県連幹部や照屋氏後援会幹部でつくる選考委員会は6月に、北中城村長の新垣邦男氏を後継とする方針を決めたものの、この決定に異論が噴出。新垣氏を推す勢力も一歩も引かない構えを見せており、深まる対立は「落としどころがない状況」として分裂の危機に陥っている。

 11月30日の執行委員会は2時間を超えて議論が交わされたが、一致点は見いだせなかった。結論の先送りが続く状況が長期化しており、来年の県議選への影響を懸念する声も出始めた。

 さらに会合の途中には、副委員長の崎山嗣幸県議、新垣氏の擁立に反対する県連浦添支部と沖縄支部の執行委員ら計5人が退席するなど、党内の不和は深刻さを増している。

 退席者も出た会合では、寛徳氏の後継を選ぶに当たって委員の一部が推していた照屋大河氏と宮城一郎氏の県議選公認が決定した。県連幹部は「これで新垣氏以外の選択肢が事実上なくなった」と指摘し、新垣氏の衆院2区擁立で合意を取り付ける流れが強まりそうだ。

 県連委員長の大河氏は「事態が長期化すると次期衆院選や県議選に影響を与える。県連四役としては2区の関係者が主体的に意見を集約してほしい。その意見を尊重する」と会合後にコメント。県連執行部は今後、2区選出の県議や市町村議員などを中心に意見の集約を図っていく方針だ。

 だが、2区内の関係者でも新垣氏の擁立を巡って意見が割れており、事態が収拾するかは不透明だ。会合を途中退席した委員は「何を言っても執行部は受け付けない。県連は事実上分裂している。もう落としどころはない」と執行部批判の姿勢を強めている。

(吉田健一)