【東京】減額傾向が続く沖縄振興一括交付金や、本年度新設された沖縄振興特定事業推進費などの在り方を巡り、27日の衆院沖縄北方特別委員会で野党議員が追及する場面があった。一方の政府側も、予算に対する県の要望額について「県庁内の各部局の希望額をあらあら足し上げたものだ」(内閣府)と述べ、県の積算根拠を疑問視する姿勢を示した。
屋良朝博氏(国民民主)は2020年度の沖縄関係予算概算要求で、一括交付金が1188億円と、要望額として過去最低となった一方、県を通さずに国が直接市町村へ交付できる特定事業推進費は本年度当初予算の30億円を上回る55億円を要望したことの根拠をただした。
内閣府の宮地毅政策統括官は、一括交付金について自治体の継続事業費の見通しや新規事業費の水準などを踏まえ「国として必要と考える額を確保した結果」と説明した。ソフト交付金を補完する名目の特定事業推進費の大幅増を求めた理由には、本年度からの継続事業の見込み額(25億円)に、来年度の新規事業分(30億円)を加算したとした。ただ、新規分30億円の積算根拠については「現時点で特定されているわけではない」と説明した。推進費は「一種の枠的な予算」との認識を示し「厳密な積み上げにはなじまない」との考えを示した。
ただ、内閣府はこれまで一括交付金も精緻な積み上げはなじまないとしてきた経緯がある。屋良氏は「一括交付金を減らし、政府が使途を決められる推進費に置き換えていると見られても仕方ない」と疑念を呈した。
赤嶺政賢氏(共産)は現行の沖縄振興特措法は「沖縄の自主性を最大限尊重するところに最大の眼目がある」とし、国直轄事業の割合を増やす政府姿勢に「沖縄振興の在り方で理性を失っている」と批判した。
衛藤晟一沖縄担当相は「市町村長からもいろんなご意見を伺っている」と推進費に対する要望があることに言及。これに赤嶺氏は県知事、県市長会長、県町村会長の3者が一括交付金の増額を求めているとし「大臣がつまみ食い的にどこかの市町村長の話を聞いたのとは重みが違う」とけん制した。