東京商工リサーチ沖縄支店は2日、県内中小企業の後継者についての調査結果を発表した。60・6%の企業で後継者が決まっておらず、不在率は全国平均の55・6%を上回り全国で5番目の高さだった。
同支店は「体力の弱い企業の場合、代表者に子どもなどの後継候補がいても引き継ぎを拒むケースがある。不動産投資や観光需要に後押しされた別の業態にひかれ、企業を新設する方が魅力的に映っていることも一因になっている可能性がある」と指摘した。
産業別にみると、代表者の年齢が比較的若いとされる情報通信業で74・6%と最も不在率が高かった。不動産業やサービス業、建設業などで6割を超えた。
後継者不在の企業のうち「未定」と「検討中」が63・1%、「社内で人材を育成する方針」の企業が12・6%だった。「会社を売却、譲渡する方針」は0・2%、外部からの「人材招へい」と「資本受け入れ」は0・08%にとどまり、第三者に経営権が移ることには抵抗感が強い傾向がうかがえる。
代表者の年齢別後継者不在率は、60代で56・2%、70代で45・3%、80歳以上では32・3%となった。
同支店は「後継者が決まっていない場合、代表者の急病や死去などで事業継続が困難なケースも起きている。従業員の雇用や、取引先にとっても販路などが予期せぬ形で失われかねない」と課題を指摘した。
調査は東京商工リサーチのデータベースから全国約19万社を無作為に抽出。県内では1959社を対象とした。対象は中小企業基本法の定義に準拠している。