沖縄県は5日までに、観光振興のために導入を目指している新しい法定外目的税「宿泊税」の素案をまとめた。県民、観光客を問わず、県内のホテルや民泊施設の宿泊者を対象に課税し、税額は1泊あたりの宿泊料5千円以上2万円未満で200円、2万円以上で500円を徴収する。宿泊料5千円未満の場合や修学旅行からは徴収しない方針とした。
税収は年間42億円を見込んでいる。2次交通対策や災害時の観光危機管理など、観光客の受け入れ体制強化に充てる考え。県は2021年度の導入を想定している。今後、県のホームページを通してパブリックコメントを実施し、県民や事業者の意見を聞いた上で条例案を固める。条例案が県議会で承認されれば総務省の同意を得て導入となる。
当初、県の検討委員会が示した提言では、宿泊費2万円未満が200円、2万円以上が500円の2段階方式だった。県は、県内離島から本島への通院や遠征などに配慮する必要があるとして、5千円未満を免除とする案とした。
徴収方法は、宿泊施設の事業者が宿泊料金と合わせて徴収する。税額ごとに徴収人数を報告するなど、毎月県に納税申告する。正しく納税されているかを確認するために、委託業者などを通じて年に1回ほど調査を実施することも検討している。
独自で宿泊税導入を検討している市町村では、納税義務者が払う税額は変えずに県宿泊税の税率と折半にする。例えば県と同じ税額で検討を進めている恩納村だと、宿泊料金が2万円未満の施設の場合、県宿泊税が200円のところ100円になり、残りの100円は市町村の宿泊税となる。
県税務課の担当者は「納税申告をしない業者が出てくるケースも考えられ、その対応が重要となる」と話した。