高熱ですすが付着、変色も 首里城の文化財を公開 修復長期化も


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報道陣に公開された首里城火災で現存が確認された収蔵品=6日午後5時半ごろ、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館(新里圭蔵撮影)

 首里城火災で焼失を免れた美術工芸品のうち、6日に報道陣へ公開された10点の中には、すすが付着したり、変色したりした紅型や衣装、三線などの復元楽器もあった。防火戸で焼失は免れたが、すき間からすすが入り、火災の熱で高温にさらされた影響とみられる。公開された室内には、すすのにおいがかすかに漂い、火災の影響を感じさせた。

 首里城で収蔵していた県指定有形文化財3点のうち南殿収蔵庫にあった自了筆の絵画「白澤之図(はくたくのず)」も公開された。一方、県指定有形文化財のうち漆器2点は損傷が激しく、公開されなかった。漆器2点が保管されていた寄満(ゆいんち)収蔵庫は、火災時に97・4度もの高熱を記録していた。その影響で16世紀製作とされる同文化財「黒漆菊花鳥虫七宝繋沈金食籠(くろうるしきっかちょうちゅうしっぽうつなぎちんきんじきろう)」は焼失こそ免れたものの、薄紙の付着や塗膜の劣化で特に状態が悪い。薄紙をはがすことも難しく、職員らは修復手法を慎重に検討するために保管し直したという。

 同財団関係者は県指定有形文化財の漆器2点について「漆器一つの修繕に2年以上かかる。首里城の再建より時間がかかる可能性もある」との見通しを示す。

 6日の記者会見で沖縄美ら島財団は、火災翌日の11月1日から3日にかけて収蔵品を搬出した際の状況も報告した。消防の協力を得てエンジンカッターで展示室や収蔵庫の防火戸を破って収蔵品を搬出したという。寄満収蔵庫は体感温度がかなり高く、消防水とみられる水漏れも確認された。

 同財団は今後について、「焼け残った跡に少しでもかけらなどが残っていないか探したい」とし、火災現場を調べる考えも示した。