〈31〉夜間頻尿 水分取り過ぎに注意


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 夜寝ている間におしっこで起こされて困ることを夜間頻尿といいます。夜間頻尿は日中の活動性を低下させる厄介な問題です。高齢者に最も困る症状を問うと、先進各国では夜間頻尿が第1位に上がります。

 夜間頻尿の一番の原因は水分の取り過ぎで、夜間頻尿で外来を受診した8割の方に見られます。マスコミが「こまめに水分を取りましょう」というので、多くの方が水分を取り過ぎています。

 水分の取り過ぎが長年続くと血圧が高くなり心臓に負担をかけて心不全となりますが、心不全の初期症状も夜間頻尿です。夜間2回以上おしっこに起きる人の生存率は低いのです。適正1日尿量は体重×20~25ミリリットルです。体重60キロの人なら、1回ごとの尿量を測って1日尿量が合計1200~1500ミリリットルとなるよう飲水量を調節しましょう。

 高血圧も夜間頻尿の原因となります。日中の高血圧では夜間の尿量が多くなりますが、早朝の高血圧では早朝の1回ごとの尿量が少ないのが特徴です。1日数回、血圧を測って、寝る前より早朝起床時の方が高いのが早朝高血圧で、原因としては塩分の取り過ぎや睡眠障害などがあります。

 睡眠障害は夜間頻尿の原因であり、結果でもあります。睡眠障害で夜間頻尿となるのは睡眠時無呼吸症候群か、浅い睡眠です。

 睡眠時無呼吸では心不全傾向となって夜間頻尿となります。高齢者の浅い睡眠の原因の多くは長時間睡眠です。睡眠時間が長いと睡眠の質が低下し、少しの尿意で目覚めてしまい、トイレに行って排尿しない限り寝続けられないのです。夜の睡眠時間は6~7時間とし、日中眠ければ15~30分程度の昼寝を追加しましょう。

 泌尿器の膀胱(ぼうこう)や前立腺の病気は夜間頻尿の原因となります。早めにトイレに行く習慣があると膀胱が小さくなってしまい、頻尿になります。適度に尿を我慢して膀胱を大きくしておきましょう。これらで改善しなければ泌尿器科を受診しましょう。

(菅谷公男、北上中央病院 泌尿器科)