芸歴25年「琉舞に夢中」 ダウン症の高山さん 糸満の道場で稽古


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 【糸満】四ツ竹を軽快に打ち鳴らし、先輩舞踊家とはつらつと舞う姿は自然と人を笑顔にさせる。ダウン症の高山拓さん(39)=浦添市=は、14歳から糸満市大里の玉城流琉扇会・浜元良美琉舞道場に通い、芸歴25年を迎えた。拓さんはまっすぐな瞳で「琉球舞踊が大好きです」と話す。

真剣な表情で舞踊「祝い節・めでたい節」を踊る高山拓さん(左から2人目)と母の美佐子さん(右端)=9日、糸満市大里の玉城流琉扇会・浜元良美琉舞道場

 母の美佐子さん(69)は、拓さんが小学部の発表会で琉球舞踊を笑顔で踊る姿を見て「琉舞が好きなのが伝わってきた」と振り返る。複数の琉舞道場を当たり、快く受け入れてくれたのが浜元良美琉舞道場だった。

 道場の浜元会主は「(ダウン症の子を受け入れるのは)初めてだったが、人見知りをしない子で、踊れるようになると感じた」と出会った当初を振り返る。

 稽古は週2回。浜元会主は拓さんを特別扱いせず、他の門下生と同じように、言葉遣いや姿勢、礼儀から厳しく指導をする。拓さんが本部町で就職したときは月1回、会主自ら拓さんの家を訪ねて稽古をつけた。浜元会主は「怒られても付いてくる。本当に琉舞が好きで、周りを見て、教えていない踊りでも覚えている」と高山さんの琉舞に向き合う姿勢を褒める。

 美佐子さんも拓さんに続いて琉舞を始めた。「私が道場に連れてきたが、今は息子に引っ張られている」と目を細める。

 拓さんは15日、糸満市の西崎総合体育館で開かれる糸満市文化協会の文化祭に出演する。拓さんは「先輩方に合わせて一生懸命踊りたい」と意気込んだ。