2025年の後期高齢者の割合は? 少子高齢化で求められる地域活動とは… 若者と女性の声の見える化を NPOの川北秀人さん


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地域のデータに基づいて「しなければならないこと」に注目するよう語る川北秀人さん=6日、浦添市のJICA沖縄国際センター

 「SDGs時代に私たちの生活で取り組めること」と題してNPO・IIHOE(人と組織と地球のための国際研究所、東京)代表の川北秀人さんが6日、浦添市のJICA沖縄国際センターで講演した。人口など詳細なデータを示しながら「世界の心配もあるが、自分たちの地域の暮らしはどうなるのか、『何をしたいか』より『何をやらないとやばいか』を意識するべきだ」と、高齢化や行政予算など地域の現実を見直すことを強調した。

 川北さんは冒頭、県内の「2015年、25年の後期高齢者世帯の割合は?」「後期高齢者のうち“要介護3”以上は何%?」などと問い掛けた。これらの数字から予想できる未来像を踏まえて「企業も去年と同じ計画、同じやり方ではもうからなくなる。社会的な取り組みに本気にならざるを得ない」とした。

 今までの「延長線上」では立ちゆかないことを世界市場での日本の存在感、地域の人口構成、インフラの維持・更新費用の三つの視点で詳しく説明した。

 「海外観光客が増えているのは、日本は人件費が安く、滞在費が安く済む“お買い得”だから」と述べ、各国と比べて日本経済が停滞していることを指摘した。橋や水道といった地域のインフラは耐用年数を超えるものが増加する一方「造った時の借金がまだ残っているのに、更新費用がかかる」などと厳しい現実を説明。日本は少子高齢化の最先端を走ることから「これらの厳しい事実を共有して何をするかを考えれば、世界のモデルになる」とした。

 さらに高齢化の中身について「74歳までは民生委員や老人会など地域活動の中心になるが、80代は介護ニーズが急増する」と年齢による違いを指摘。県内では2015年と35年で生産人口に当たる64歳以下は減少、65~74歳の元気な高齢者は横ばいだが75歳以上は倍増することを示した。その中での地域活動は「今やっている負担を見える化して全体を把握し、今まで声を出せなかった若者や女性の声を見える化して意思決定に反映させることが重要」と改善方法を提示した。

 さらに若者の都市流出の原因を「『雇用がない』とするのはうそ」とばっさり。バイオマスエネルギーを進める北海道下川町、ひとり親受け入れ事業を進める島根県浜田市、林業の6次産業化に成功した岡山県西粟倉村などを紹介して「若者がチャレンジできる仕組みを作ったところは人が集まっている」とし、地域の課題や若者の声を出発点とすることを強調した。

 会場は学校や行政、市民団体などからの参加者で満員。増える外国人への対応など質問の手が次々と上がった。川北さんは「外国人の困りごとに地域が手当てをすると参加率も上がる。自治会を外国人にも共有していって」などと答えた。

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