中山大雅、「KOで花道」誓う 防衛戦は引退試合、プロ人生の集大成に 22日にキックボクシング試合


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最後の試合に向け練習に汗を流す仲山大雅=13日、宜野湾市愛知のキックボクシングジム・フィットネスRIOT GYM(新里圭蔵撮影)

 フライ級国内2冠のプロキックボクサー、仲山大雅=LIOT GYM=が22日、琉球かきだみし協会認定ベルト(RKA)の防衛戦を最後に、現役を引退する。若干21歳。自身初の防衛戦が、6年間のプロ人生の集大成となる。「沖縄の家族や友人に一番強い自分を見せたい」と気合十分。指導者を目指す次のステージに向け、KO勝利で自ら引退の花道を飾る決意だ。

 引退試合は与那原町観光交流施設である興業の第10試合メインイベントとして行われる。対戦相手はタネ♡ヨシキ(直心会/INNOVATIONフライ級5位)。パンチが鋭くボクシング技術の高い選手だ。

 肘打ちや膝蹴りを織り交ぜた接近戦も得意とする仲山。相手のパンチの隙間を縫って強打を浴びせたい考え。KO狙いを宣言し「相手は守備力が高い。流れの中でいけると思ったら一気にいく」と冷静に構える。

 今年2月に獲得したWBCムエタイ日本統一フライ級王座のベルトも含め、自身初の防衛戦が引退試合となるが「どう戦うか楽しみ」と気負いはない。「打ち合いでも組み合いでも相手を圧倒できる試合を見せたい」と闘争心を燃やす。

 世界を目指せる逸材の早期の引退に、長堂雄司会長(35)は「反対したんだけどね」と苦笑い。それでも最後は本人の意思を尊重し「全てを出し切り、悔いの無い試合をしてほしい」と背中を押す。対戦成績は15勝(11KO)7敗1分け。2017年にはタイ人のバンタム級世界王者チョークディー相手に判定引き分け。18年には国内で絶大な人気と実力を誇る石井一成と熱戦を繰り広げ、TKO負けを喫したが、激しいファイトで人気と知名度を上げてきた。

 上げ潮に乗り始めた時期の引退で「さみしい」と本音も明かす。現状で具体的な理由は明かせないが、一身上の都合で引退せざるを得ない状況だという。5歳で空手を始め、16歳でプロデビュー。「常に相手を倒すイメージをしてきた。戦うことが好きで、自分の表現方法だった」と強い“格闘愛”は衰えていない。引退後は「日本一強いジムを沖縄につくる」と語り、後継を育てたいという。

 沖縄への愛着も強く、引退試合と同時期に東京で世界タイトルマッチのオファーもあったが「最後は沖縄で、お世話になった人に強い姿を見せたい」と地元での終幕を選んだ。「ウチナーンチュとして、沖縄でベルトを防衛して引退する」。ミットやサンドバッグに向き合う瞳に、力が宿る。
 (長嶺真輝)