<社説>20年度沖縄予算 県の自主性確保すべきだ


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 沖縄側の裁量を狭め、国の権限を強くする。その傾向が一層強まった予算編成だ。

 2020年度沖縄関係予算は3年連続同額の3010億円と決定した。このうち県と市町村が比較的自由に使途を決められる沖縄振興一括交付金は、19年度当初予算比79億円減の1014億円となり、過去最低額を更新した。6年連続の減少だ。
 一方で、県を通さず国が直接市町村などに交付する沖縄振興特定事業推進費は19年度当初予算比25億円増の55億円とし、存在感を強めた。
 沖縄振興一括交付金は、国が使途が決める、いわゆる「ひも付き」補助金に代わり、地方自治体が一定程度自由に使途を決められる地方交付金だ。民主党政権時の12年に沖縄振興特別措置法に定められ、さらに全国でも約300億円が地方自治体に配分された。安倍政権になって全国分は廃止されたが、沖縄では制度として残った。
 目的は道路や港湾などインフラ整備に偏った国庫補助事業から、県や各市町村の実情に合った事業に予算を振り向け、沖縄の自立度を高めようとするものだ。
 一括交付金導入から5年目の16年に本紙が県内41市町村長に聞いたアンケートでも全員が「評価する。継続すべきだ」と答え、特に「既存の補助事業でできなかった事業ができた」との回答が多かった。一括交付金が自治体にとって重要な予算になっている証しだ。
 翁長県政初の予算で一括交付金が減額された15年度予算について国は「執行残などの不用額の多さ」を理由とした。不用額は改善したものの、国は今回、「過去3年の継続、新規事業の伸び率の実績を踏まえた」とする。しかし一括交付金は6年連続で減少しており、事業の伸びが少なくなるのは当然だ。減額ありきの疑いはぬぐえない。
 そもそも昨今の沖縄関係予算が政治と切り離されているかという疑問もある。仲井真弘多知事が辺野古埋め立てを承認する直前に決まった14年度予算は、前年度当初比で500億円増の3501億円で、概算要求額をも上回る異例の厚遇だった。
 翁長県政、玉城県政と続く辺野古移設反対の姿勢に対し、国が予算面で締め付けてきたように見える。国の考え方に沿うか否かで「アメ」を使い分けるのは公正な予算配分とは言い難く、地域分断をも生みかねない。
 焼失した首里城の再建に関する費用も盛り込まれたが、再建経費は菅義偉官房長官が「政府として責任をもって」と述べたように、国が沖縄関係予算とは別枠で計上すべきだ。今後を注視したい。
 沖縄振興特別措置法はその目的に「沖縄の自主性を尊重しつつ」「沖縄の自立的発展に資するとともに、沖縄の豊かな住民生活の実現に寄与する」とうたう。法の趣旨にのっとり、沖縄の自主性を重んじるべきだ。