首里城焼失を受け琉球大学(西田睦学長)は22日、沖縄県那覇市おもろまちの県立博物館・美術館で緊急学術シンポジウムを開き、復元に向けて重要な視点や研究者・大学が学術的に何ができるかについて意見を交わした。遺構を大切に保存しながら再建し、防火設備を充実させる必要性を確認した。約100人が参加した。
堤純一郎琉球大工学部教授は再建について「使用する木材の不燃・難燃化、内部出火に対する最新の防火設備の設置、監視や通報に関するICT技術の導入が必要だ。その上で定期的に防火訓練をするべきだ」と強調した。さらに「再建中、ホログラムやプロジェクションマッピング(立体的な映像の投影)で首里城を再現してもいいのではないか」と提案した。
文化庁文化審議会委員の藤井恵介東京大名誉教授は「世界遺産登録の際の議論を踏まえると、木造での再建が基本で、焼失した建築物とほぼ同様のものを建てて防火を徹底することが最善だ」と述べた。
前沖縄考古学会会長の當眞嗣一氏は2020年、世界遺産の登録から20年を迎えることに触れ「登録の際は、遺構を壊さずそのまま残していたことも評価された。再建でも考慮する必要がある」と指摘した。
下地芳郎沖縄観光コンベンションビューロー会長は、公開エリアが拡大されたことに触れ「多くの人に見て考え、支援につなげてもらうことが大切だ。撤去作業も含め完成までの工事期間のプロセスも公開するべきだ」と話した。ほかに西村貞雄琉球大名誉教授、田名真之県立博物館・美術館館長が登壇した。