2019年はどんな年だった? 伝統芸能、洋舞、エンタメ編〈沖縄年末回顧〉


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 2019年は組踊上演300周年の節目に当たり組踊公演が盛んに上演された。県初の日本芸術院賞受賞や県内13人目の人間国宝認定など、大きな賞が琉球古典芸能の実演家に授与された。10月の首里城焼失を受け、多くの実演家が公演を急きょ首里城復興の寄付を募るチャリティーに変更した。沖縄の芸能や文化の魅力と可能性を再認識させる年になった。

【組踊】

 琉球新報社新本社ビル落成記念公演「おきなわ文化の祭典 大琉球浪漫」で、2月に宮城能鳳が初めて脚本を書いた新作組踊「世謡―蓮糸の縁―」、3月に「大川敵討」を上演した。組踊が国の重要無形文化財に指定された記念日(1972年5月15日)に国立劇場おきなわで組踊上演300周年記念事業開幕式典と「忠臣身替の巻」上演。10月は国立劇場おきなわが研究公演で300年前に玉城朝薫が創作し、初めて組踊を上演した野外舞台を、約150年前のからくり仕掛け花火と共に再現。11月から沖縄県立芸術大学は「組踊・琉球舞踊公演」を開催。1月まで。

【琉球舞踊】

 各道場の公演は、玉城流扇寿会名古屋道場創立30周年記念公演、玉城流七扇会山城洋子二代目家元芸歴60周年記念公演、渡嘉敷本流守藝の會金城光子三代目家元芸道65年記念、琉球舞踊かなの会高嶺久枝会主芸道50周年と県立芸術大学教授就任5周年記念公演などがあった。独演会は永山玲緒奈、仲程めぐみ、儀間美明、喜納かおり、新垣範(八重山舞踊)ら。

【沖縄芝居】

 8月に劇団「大伸座」が劇団70周年と大宜見小太郎、静子夫妻生誕100周年を記念した公演。9月に仲田幸子が率いる「劇団でいご座」最後の舞台「敬老の日公演」があった。琉球歌劇保存会が創立30周年シンポジウムと記念公演を行った。

【古典音楽・箏曲】

 4月に、琉球古典音楽の人間国宝・照喜名朝一門下の琉球古典安冨祖流音楽研究朝一会USA支部が照喜名の米寿を記念し、米ニューヨーク市のカーネギーホールで公演した。7月に八重山古典民謡保存会師範宮良康正が芸道50周年記念公演。10月に「第20回記念全島とぅばらーま大会」。11月に那覇八重山古典民謡保存会が創立40周年公演を実施した。同月、沖縄伝統音楽箏曲保存会が創立20周年記念公演。琉球古典音楽野村流音楽協会は11月から年明け1月にかけて創立95周年記念公演。10月、中村一雄が、国指定重要無形文化財「琉球古典音楽」(各個認定)保持者=人間国宝=に認定。国の重要無形文化財「組踊」の保持者(総合認定)に12人が追加認定された。独演会は照喜名朝國、伊藝千寿佳、仲村渠達也、田渕愛子らが行った。

【民謡】

 5月に城間重雄が歌手活動50周年記念公演。12月に神谷幸一が芸歴55周年記念公演。

【演劇】

 3月に役者の宮川雅彦が翻案・構成・演出のオムニバス劇「路地裏の楽園」が上演。同月の短編戯曲コンテスト「劇琉王 vol.2」は犬養憲子が「絶交の先」(大浜暢裕演出)で1位。6月は故井上ひさしさん原案で沖縄戦を描いた劇団こまつ座の舞台「木の上の軍隊」が上演された。同月、劇団O.Z.Eが創立20周年記念公演。9月に人形劇団「かじまやぁ」が45周年記念公演。11月は昨年、岸田國士戯曲賞を受賞した県系の劇作家・演出家の神里雄大が作・演出を手掛ける舞台が、沖縄初上演された。

【バレエ】

 6月にシンガポールで開かれた「第2回マスターピース インターナショナル バレエコンペティション」で、Studio Dream Art所属の丸山ほたるが、二つのシニア部門で1位に選ばれた。7月に環バレエアートスタジオ(比嘉環代表)は25周年記念発表会を開き、創作バレエ「『Life』~最後の宿題~」を上演した。11月には緑間玲貴が演出する公演「トコイリヤ RYOKI to AI vol.5」が東京で上演。NS琉球バレエ団(長崎佐世団長)は鹿児島県の沖永良部島で琉球舞踊や古武道の要素を取り入れた「琉球クリエイティブバレエ」を初めて上演した。同月行われた琉球新報国際バレエコンクールは今回で10回目を迎えた。

【お笑い】

 1月の「新春!oh笑いO―1グランプリ2019」はありんくりんが優勝。5月に志ぃさーが琉球落語独演会「葛飾北斎琉球八景外伝」。6月に「基地を笑え!お笑い米軍基地15~本島縦断オール新作ツアー~」があった。11月に第6回おきなわ新喜劇ツアー「オジーオズお盆~ん!」が開催。同月、まーちゃんのスタンダップコメディ「ちょい呑み処『お笑いニュースペーBar』」が始まった。

【総合】

 6月に宮城能鳳が県内初の日本芸術院賞受賞。能鳳は10月にも県内初の文化功労者に顕彰される。12月、第17回宮良長包音楽賞が備瀬善勝、特別賞は沖縄男声合唱団に贈られた。