〈33〉♯8000 救急外来に行く前に


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 沖縄県の救急医療体制は全国的にも高い評価を受けています。たらい回しや診療拒否がほとんどないからでもあるのですが、そのためでしょうか、救急を受診する患者が多いのが問題になっています。

 4割近くは小児と言われており、そのうち本当に救急処置の必要な患者は1割ほどしかいないとも言われています。このことは、二つの問題を浮き彫りにしています。

 一つは、実際に重症患者が受診した場合、その処置や治療の時間を奪われてしまうという心配。もう一つは、多くの患者を診なければいけない救急医自身の疲弊です。決して多くはない医療人たちの労苦の上に、今の救急医療が成り立っているということは理解すべきだと思います。

 とは言っても、救急外来の受診を戒めるものではもちろんありません。子どもの養育環境を考えると、核家族化し、育児についてアドバイスしてくれる人が少なくなった今日、育児経験の少ないご両親がお子さんの病気をことさら心配するのは十分に理解できます。

 どのような場合にお子さんを救急医療機関へ連れていくべきか、どのような場合なら自宅で様子をみていいのか、アドバイスしてくれる「子ども医療電話相談事業」があります。

 これが「シャープ(#)8000」です。短縮番号で、#8000でつながります。まず小児医療経験のある看護師が電話を受け、迷うケースは小児科医に判断を仰ぐ仕組みになっています。

 「お子さんがけいれんしている」「意識が変」「顔色が悪い」「ぐったりしている」など明らかに具合が悪い場合は救急車を要請したり、すぐに救急外来へ向かったりするでしょう。「ひっ迫はしていないが、ちょっと心配」というような場合は電話をしてみてください。きっと参考になるアドバイスが得られると思います。

 平日は午後7時から翌朝8時まで、休日は終日受け付けています。ダイヤル回線もあります。詳しくは県のホームページ等で検索してみてください。

(喜友名琢也、沖縄徳洲会ソフィアクリニック 小児科)