「防衛局の願望」 識者、政府の積算根拠を疑問視


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 名護市辺野古への新基地建設を巡り、防衛省が総工費約9300億円、事業完了までに約12年の期間を示したことに対し、識者からは「防衛局の願望の数字だ」などと積算根拠を疑問視する声が上がった。

 情報開示請求などで軟弱地盤の存在を指摘してきた土木技師の北上田毅氏は「沖縄防衛局の願望の数字だ。遅れた場合、県の反対・抵抗で普天間の返還が遅れたなどと、県の批判につなげる狙いが見える」と批判。「10月の技術検討会議からわずかな期間であるにもかかわらず、大幅な計画変更が行われている。これほどの大幅な変更を審査できるはずがない」と指摘した。

 沖縄大・沖縄国際大特別研究員の宮田裕氏は「1兆円規模の事業は県内で聞いたことがない。公共事業は費用対効果に基づいて実施するものだ。9300億円分を支出する根拠は何なのか」と疑問を呈した。その上で「土砂投入が1%しか進んでいない現状がある。1兆円規模でも桁外れだが、今後はさらに費用が膨らむだろう」と指摘した。