〈34〉CPAP 空気の通り道を確保


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 処方されて持ち帰ると、子どもや家族にびっくりされると思います。相当重症な病気ではないかと心配するかもしれません。このCPAPという機器は、中等症以上の睡眠時無呼吸症候群の治療機械です。世界中で使用されており、日本でも70~80万人ほどが治療用に使っています。

 CPAPは寝る時だけ使います。まず鼻にマスクを付けます。マスクはホースを通して小さな機器に接続され、スイッチを入れると空気が流れます。

 睡眠時無呼吸症候群では、寝ている時に舌が後ろに落ちていき、喉の奥にある空気の通り道がすごく狭くなると「いびき」になり、完全に閉塞(へいそく)してしまうと、呼吸ができない「無呼吸」になります。

 そうならないため、CPAPは喉の中の空気の圧力をわずかに上昇させ、舌が落ちてこないようにして、空気の通り道を開かせます。昼間と同様に自由に空気を吸ったり吐いたりできるので、いびきや無呼吸が起こることはなくなります。隣で寝ている家族も、うるさいいびきや無呼吸を気にせず、眠れるようになります。

 CPAPを毎晩使うと、睡眠の邪魔をする無呼吸はなくなり、ぐっすり眠ることができます。そうすると日中の眠気もなくなり、仕事の能率も戻ります。身体への負担が減り、高血圧や不整脈、動脈硬化、2型糖尿病になりやすいリスクも下げることができます。

 しかしCPAPを毎日続ければ、睡眠時無呼吸症候群が治るというわけではありません。この機器は寝ている間に喉が狭くなるのを防いでいるだけです。肥満が病気の原因であれば、CPAPを使用しながら体重を少しずつ減らすことができれば、病気も改善していきます。

 睡眠時無呼吸症候群は、治療を行えば症状も改善します。ただし本人はいびきや無呼吸を自覚しておらず、気付くのは主に家族です。大きないびきや呼吸が止まって静かになり、「ガーッ」という呼吸の再開が何回もあれば、専門の医師にご相談ください。

(山城義広、嬉野が丘サマリヤ人病院 内科)